タイトル GOSICK-ゴシック-
レーベル 富士見ミステリー文庫
第1巻発売日 2003年12月10日
既刊最新刊発売日 2007年04月10日
最新刊発売予定日 未定
著者 桜庭一樹
挿絵 武田日向
既刊 9巻(本編6巻、短編3巻)
本編 GOSICK-ゴシック-
GOSICKⅡ-ゴシック・その罪は名もなき-
GOSICKⅢ-ゴシック・青い薔薇の下で-
GOSICKⅣ-ゴシック・愚者を代弁せよ-
GOSICKⅤ-ゴシック・ベルゼブブの頭蓋-
GOSICKⅥ-ゴシック・仮面舞踏会の夜-
短編 GOSICKs-ゴシックエス・春来たる死神-
GOSICKsⅡ-ゴシックエス・夏から遠ざかる列車-
GOSICKsⅢ-ゴシックエス・秋の花の思い出-
漫画化2008年~
アニメ化2011
その他 リメイク版が角川文庫より発売(2009~)
このライトノベルがすごい!2005 作品部門24位
このライトノベルがすごい!2006 作品部門20位
このライトノベルがすごい!2007 作品部門23位
このライトノベルがすごい!2008 作品部門29位

おきに度 10
燃★・萌☆ ★★★☆☆☆☆☆☆☆
笑★・シリアス☆ ★★★☆☆☆☆☆☆☆
ストーリ★・キャラ☆ ★★★★☆☆☆☆☆☆
エロ(★が多いほど↑) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
世界 同世界過去(国は架空)
恋愛
ストーリ
推移 終始安定
テキスト 10
キャラクター 10
挿絵
雰囲気 10
独自語 普通



文章全般
とある日本人留学生は、かの国で女性・エリスと恋に落ち、妊娠させてしまいました。
……なのに、その留学生は日本に帰ってきてしまいました。妊娠したエリスを残して。
「相沢謙吉が如き良友は世にまた得がたかるべし。
されど我が脳裡に一点の彼を憎む心今日までも残れりけり。」
……著者が何と言おうと、あたしは意志薄弱だと思う。石橋忍月と同じだね。
これは、森鷗外の『舞姫』。
何でこの作品を挙げたのかというとね、今から言う作品も、日本人留学生の話だからだよ。
ただしこっちは、『浪漫三部作』の一つと呼ばれる舞姫よりも、
もっと浪漫があって、もっと初々しいけれど。
その作品の名前は、『GOSICK』。籠の中の姫と東洋の騎士の物語。
……って言うと、ちょっと大袈裟かな?

久城家の三男、一弥は留学生としてソヴュール王国にある貴族子弟の為の学校、
聖マルグリット学園に編入してきました。
几帳面で真面目で。男らしくありたいと思っているけれど花や綺麗なものが好きな男の子。
ついたあだ名は……『春来たる死神』。……別に一弥が悪い人な訳じゃないよ?
学園に伝わる怪談と一弥が被っていたから。
「春やってくる旅人が学園に死をもたらす」
だからそう呼ばれているだけ。
それでも……、ううん、それだからこそ、クラスの皆は一弥から一定の距離を置いたの。
だから一弥は、留学先で、ひとりぼっち。或る少女と出会うまでは。
先生に言われて届けることになった、休んでいるクラスメートへのプリント。
そのクラスメートの名前はヴィクトリカ。教室に来た事の無い少女。
学園から出る事の赦されない籠の中の姫君。
居る場所は聖マルグリット大図書館。その最上階。
埃と知識の匂いのするその場所に踏み入れた瞬間、一弥の運命は大きく変わる。
「遅刻しただけでは飽きたらず、その上図書館でさぼるつもりかね?
もちろん勝手にしていいが、せめてもわたしの邪魔にならないよう、あっちへいきたまえ」
……ちょっと、第一印象は良くないけれど。

このお話はね、ヴィクトリカが知恵の泉の力で混沌から受け取った欠片を再構成するお話。
……分からないよね。えっと……安楽椅子探偵って言うのかな。
一弥がヴィクトリカに事件の内容を話して、それをヴィクトリカが推理するの。ミステリー小説だよ。
ミステリーって言っても、メインは一弥とヴィクトリカのお話だから、そこまで小難しいものじゃ無いけれど。
だから、純粋に推理ものとして楽しみたい人、
……難解なミステリーが目当ての人には、物足りないんじゃないかな。
この物語はあくまで、一弥とヴィクトリカの物語。そう思って読むと、楽しめると思うよ。
でも、ボーイミーツガールなんだけれどあまり恋愛っていう感じじゃないの。
それ以前、なのかな。友人っていう感じ。
だけど、お互いを信頼しているっていう点では恋人に引けを取らないよ。恋人なんて超えているかも。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の微妙な時期。二人の関係を割くのは、時流。
この作品はそれに逆らおうとする二人の姿を描いているんだよ。あんまり表に出さないけれど、ね。
この二人が最後どうなるのか……、それはわからない。まだ完結していないの。
ずーっと、このお話は止まったまま。
だから、すっごくじれったい。いつになったら出るのかな……。

テキストは、スラスラと読めるよ。普段は明るい感じかな。
一弥がヴィクトリカに振り回されている感じが、とっても面白いの。
そう、例えるなら砂糖菓子のよう。だけどそれに見合うような狂気も孕んでいて。
光と影。それが上手い具合に溶け合って、このお話を絶妙な面白さにしているんだと思う。
『舞姫』の豊太郎は妊娠したエリスを置いて帰国してしまったけれど、一弥はどうするんだろう。
……あたしはハッピーエンドを期待しているよ、一弥君?

武田日向って人が担当してる。漫画家なんだって。
ヴィクトリカの格好はフリルが沢山付いた、
ゴスロリみたいな感じなんだけれど、それがとっても上手なの!
ふわふわしていて、お人形みたい。文章のヴィクトリカ達を、本当に上手に表現していると思う。
……だから、絵無しでリメイク版を出しているのは、あたしは赦せない。
この作品は桜庭一樹と武田日向の二人が作った作品なんだよ。桜庭一樹だけが作ったんじゃない。
それを忘れたら、きっと罰が当たる。……それとも、諠が当てる?
絵がある新装版も出す予定らしいけど……どうなるんだろうね。


キャラクター
レギュラーで登場するキャラクターは意外と多いんだけれど、みーんな個性的。
その中でも群を抜いて個性的なのは、やっぱりヴィクトリカ。
絶世の美少女。まるでお人形のような容姿かつお人形のような服装の女の子。
それは一弥も最初はお人形、ビスクドールと間違えちゃったくらい。
でも、一度口を開けば……、
老婆のように皺枯れた声、口調。出てくるコトバは必要最低限の事と、皮肉。
頭が良過ぎて世の中の殆どの事に興味を示さないで、本ばかり読んでる。
求めるのは混沌……つまり、謎。
だけどお菓子が大好きで、人見知りで、寂しがり屋で、痛いのが大嫌いで。
とっても子供っぽい一面もある。
見た目とは裏腹に、出自に大きな狂気を孕んでいて。
何て言うか、ヴィクトリカ自身が最大の混沌っていう感じがする。
そんなヴィクトリカが、とっても可愛いの!
外見や行動もそうなんだけど、テキストの表現が良いのかな。
抱っこして、ぎゅーってしたくなるような感じ。そんな可愛さなの。
……言葉で代用出来ないかな? ふわふわの格好させて。ふふ、試してみようか?

一弥はさっきも言ったけれど、几帳面で真面目な男の子。
ヴィクトリカの世話を焼く、責任感の強い男の子だよ。
毎回ヴィクトリカの発言で怒るんだけど……、毎回、赦しちゃう。
絶対ヴィクトリカの所に帰って来るし、ヴィクトリカも来る事を望んでいる。
二人だけで、一つの世界を構成しているように思えてくるよ。それくらい、信頼している。
彼らならどんな事があっても大丈夫だと、あたしは思うな。

イライラするキャラクターも殆ど居ないし、居ても必要悪な感じだから、安心して読めるよ。
キャラクターが良いから、このお話は一層面白くなっているんだと思う。

雑記
この作品は刊行と時系列の順番が違うの。
あたしがさっき言った導入は、時系列的に一番最初の場面。
巻数で言うと、五巻。短編だから五巻って言うのも変なんだけどね。五冊目、かな。

ヴィクトリカ達のお話も勿論気になるんだけど、
あたしはもう一つ、一弥の姉の久城瑠璃のお話も気になるかな。
勝気な女学生。一弥の事を溺愛しているお姉さん。
サブストーリもいいところなんだけど、気になるな。それも含めて、続きが出るのを楽しみにしてる。

ところで……、ヴィクトリカは普通の年齢、一弥と同級生なのに老婆のような声と口調なんだけど、
どうして言葉はあんな声と口調なのかな。だって、三ケタでしょう? ……もしかして、四ケタ?
……実は演技だったりしたら、面白いね? 絶対素だと思うけれど。
…………もしかして、諠がそういう風になるように育てたの?