タイトル 会長の切り札
レーベル角川スニーカー文庫
第1巻発売日2008年11月01日
既刊最新刊発売日2009年12月01日
最新刊発売予定日
著者鷹見一幸
挿絵KeG
既刊4巻(完結)
本編 一芸クラブの勝機あり!
忍者ガールで罠をはれ!
軍師ゲームの裏を読め!
逆転プランの用意あり!
漫画化
アニメ化
その他

おきに度
燃★・萌☆ ★★★★☆☆☆☆☆☆
笑★・シリアス☆ ★★★★★★★☆☆☆
ストーリ★・キャラ☆ ★★★★★★☆☆☆☆
エロ(★が多いほど↑) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
世界 同世界現代
恋愛
ストーリ
推移 最終巻がちょっと。。。
テキスト
キャラクター
挿絵
雰囲気
独自語 多少



文章全般
町の合併。喜悲こもごもだけど、仕方が無い事。
そんな何処にでもある問題が、ここでも起こっていました。
楢山町、樫森町、桜川町。財政赤字のこの三つの町は、一つに合併することで話が進んでいたの。
ごたごたはしていたけれど、特に他の市町村合併と比べて問題があるわけではありませんでした。
ある一点を除いたら。
それぞれの町にある高校。それを、町と同様に統廃合するって言ったものだから、大騒ぎ。
特に取り得がある訳じゃない、自由な校風の共学・楢山高校。
質実剛健がモットーのエリート男子校・樫森高校。
伝統ある文武両道のお嬢様校・桜川女子高校。
「共学の楢山高校を解体して男女それぞれ樫森と桜川女子に行けばいい」
「伝統ある我が校を残すべきだ」
そんなことを言う大人もいれば、楢山高校解体に反対する大人もいる。
けれど。
「楢山高校がなくなったら地域収入が減る」
なんて生徒のことを考えていない反対の仕方だったから、会長が立ち上がるの。
「高校の問題は高校生が決める」
そういう理由で始まった、言わば現代戦国絵巻、町を挙げてのお祭り騒ぎ。
相手はエリート両校。戦況は傍から見たら絶望的。
だけど、楢山高校生徒会会長・早乙女朋絵には、絶対の自信がありました。
だって、彼女には絶対の信頼が置ける切り札がいたから――

こんな感じのお話。どうかな?
このお話は、楢山高校の生徒会をメインで扱っているの。
その中でも会長・早乙女朋絵と副会長・所光明が主人公かな。幼馴染なの。
会長を補佐する副会長。あくまで裏方に徹するんだけど、どうしても目立っちゃう。
そんな副会長が、会長の何よりの自慢。
……内助の功って言うのかな。普通、男女逆だよね。

内容は高校の存続を賭けたゲーム。それも全校生徒を使った、大イベント。
ゲームの内容も凄く練られていて、ホントにこんなゲームがあったら楽しそうだなって思ったよ。
盛り上がる場所はきちんと盛り上がって、楽しくない場所なんて少しも無くて。
副会長は、最高のエンターテイナーだね。
読んでいて、嫌な気分になる場所なんて一つもなかったよ。
かといって、ギャグばかりでもないの。
作品全体が「清々しい」っていうのかな。
凄く独特な設定なんだけど、とっても王道の青春を送っているような感じがする、そんな不思議な作品。

見所は、やっぱりゲーム内容、だね。
どうやって勝てば良いのか、智謀を巡らせながらもルールに従って考える様は、
手に汗握る……わけじゃないけど、すっきり読み応えがある。
町を巻き込んだ大運動会っていう感じで、田舎町の良い風景って感じがするよ。

ちょっと残念だなって思ったところは、ゲームの終了と共に作品も終了してしまったところ。
恋愛描写も沢山あるんだけど、それはきちんとした答えが出ないまま終わるの。
せっかくなら、こっちもきちんと書いて欲しかったかな。
そういう意味で、終わり方はちょっと残念だったよ。

KeGっていう人が描いているんだけど、知ってるかな?
んー。すべすべした絵って印象かな。
とっても上手なんだけど、たまに表面的に感じる。
だから悪いって訳じゃないよ? そういう特徴っていうだけ。
全部の挿絵がとっても丁寧で、良いなって感じた。
……時々、顔と髪型が合ってないなって、感じちゃったけど。

キャラクター
メインキャラクターは凄くキャラが立ってる。
一方で、サブキャラクターは殆どモブみたい。
だから、メインキャラクターがより一層引き立つんだよ。
主人公は所光明……なのかな? タイトルは彼のことを指しているしね。
とても高校生離れしたその智謀は、すっごく非現実的に感じるけれど、
この作品はその非現実的な部分を楽しむ内容なんだから、有りなんじゃないかな。
「楽しければそれで良い!」っていう感じが、作品全体からするもん。
変に穿った見方をしないで、
純粋に楽しもうと思うことがこの作品を楽しむコツなんじゃないかな。

あたしの好きなキャラクターは、早乙女朋絵。
その戦いの際の凛とした姿はまさに『戦乙女』『巴御前』。
生徒会会長として全校生徒を率いるその様は、まさにリーダーそのもの。
だけど。
誰しも根拠無き自信なんて抱けない。
彼女には、絶対的に信頼の置ける彼がいた。
だから、彼女は会長でいられるの。
誰かが側に居てくれるだけで、人は頑張れるんだよ、諠。
……ちょっと利益が一方的かもしれないけれど、そこは女の子の特権。ね?

雑記
学園物の作品なのに、それらしい描写が一切無いのは、ある意味新鮮。
目的が一貫しているからどんどん先に進むし、余計なところは省くから読みやすい。
普通、キャラクター優先で進んでいくけれど、これは物語優先なのかな。

ところで、作中に男の子と間違えられる女の子、つまりボーイッシュな子が居たけど、
意図していない時に間違えられるのって、きっとショックだよね。
諠は、そういう中性的な子は、どうなのかな?
場合によっては……一人称をボクに変えても、良いよ?