タイトル 黄昏色の詠使い
レーベル富士見ファンタジア文庫
第1巻発売日2007年01月20日
既刊最新刊発売日2009年08月20日
最新刊発売予定日
著者細音啓
挿絵竹岡美穂
既刊10巻(完結)
本編 黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで
黄昏色の詠使いⅡ 奏でる少女の道行きは
黄昏色の詠使いⅢ アマデウスの詩、謳え敗者の王
黄昏色の詠使いⅣ 踊る世界、イヴの調律
黄昏色の詠使いⅤ 全ての歌を夢見る子供たち
黄昏色の詠使いⅥ そしてシャオの福音来たり
黄昏色の詠使いⅦ 新約の扉 汝ミクヴァの洗礼よ
黄昏色の詠使いⅧ 百億の星にリリスは祈り
黄昏色の詠使いⅨ ソフィア、詠と絆と涙を抱いて
黄昏色の詠使いⅩ 夜明け色の詠使い
漫画化
アニメ化
その他 第18回ファンタジア長編小説大賞<佳作>受賞
このライトノベルがすごい!2008 作品部門9位
このライトノベルがすごい!2009 作品部門11位
このライトノベルがすごい!2010 作品部門6位
このライトノベルがすごい!2009 キャラクター女性部門8位(クルーエル)

おきに度
燃★・萌☆ ★★★★★★☆☆☆☆
笑★・シリアス☆ ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
ストーリ★・キャラ☆ ★★★★★★★☆☆☆
エロ(★が多いほど↑) ★★★☆☆☆☆☆☆☆
世界 異世界
恋愛 有(メイン)
ストーリ
推移 最終巻下落
テキスト
キャラクター
挿絵
雰囲気
独自語



文章全般
昔。女の子と男の子が居ました。
凄く才能のある人なら一生で三色まで究めることが出来ると言われている『名詠』という魔法。
赤、青、黄、緑、白。
触媒となるそれぞれの色の物を使い、『名詠式』を歌う事で使える魔法。
その魔法について、女の子は夜色という新しい名詠式を構築する夢、男の子は五色全部の名詠式を修得するという夢を持っていました。
お互いに、誰にも打ち明けた事が無かった夢を打ち明けて、二人は約束するの。
いつか、お互いに夢を叶えて再び会おうって。

時が流れて、男の子は成長し、夢を叶えました。世界でその名前を知らない人は居ません。
でも、女の子は現れない。
そんな中で、ある一人の男の子が、彼らの母校に転向してくるの。
彼には夢がありました。お母さんの遺した夜色名詠を完成させるという夢が。
それがお話の始まり。

このお話は二つの世代を跨いでいるの。
イブマリーとカインツ ネイトとクルーエル
お話のメインはネイトとクルーエルだけど、イブマリーとカインツ抜きじゃ語れない。
世界観も広いけれど、時間も広いの。だから、とっても壮大に感じるよ。
このお話のメインは『名詠式』と『成長』。
名詠式っていうのはさっき書いたけれど、魔法を使うための呪文みたいなものかな。
それぞれの色を触媒にして、それにあった名詠式を歌う事で魔法が使えるの。
その名詠式にも色々あってね? 一番難しい第一音階から第四音階まで色んな名詠式がある。
どれもとっても綺麗なんだけど、やっぱり第一音階の名詠式が綺麗。
誰かに作ってもらうわけじゃない、自分だけの名詠式。
想いがこもっていて、読んでいるだけでほぅっとしちゃうよ。
あと、成長。 ネイトは小さな男の子で、頑張り屋さんなんだけどいつもドジばかりしてる。
そんなネイトをいつも世話しているお姉さんみたいな立場なのが、クラスメイトのクルーエル。
ちょっと気が強くて、でも恥ずかしがり屋で。とっても美人で、でも恋愛なんてよく分からない女の子。
二人は、まだお互いにちょっと子供過ぎて「恋」とかそういうものは分かってないの。
助けられる側と助ける側。
そんな感じの関係でよく一緒にいる二人なんだけど、得てしてお姫様は攫われてしまうもの。
クルーエルは物語の鍵となる人。だからネイトの手の届かないところに行ってしまう。
でも、二人ともそれは望んでない。だからネイトはクルーエルを助けるの。
その為に必要なのが、成長。名詠式も、心も、ね。

こうやって言うと、とっても簡単なお話。でも、簡単なものを人より美味しく作るのは難しいんだよ?
これは、とっても美味しく出来ているの。それは凄いことだと思う。
あたしが注目したいのは、やっぱり恋愛。
ネイトとクルーエルもそうなんだけど、イブマリーとカインツも、ね。
どっちも、女の子の方が大変な目にあって、遠いところに行っちゃう。
お互いに隣に居たいはずなのに、叶わない。世界がそれを許してくれない。
そのもどかしさが、何とも言えないスパイスになるの。
男の子は、凄く努力をして女の子を助け出さなきゃいけない。
それは大変なことだけど、でも得られるものはかけがえの無いもの、でしょ?

何に於いても、一番はクルーエルだと思うな。
最初から可愛いのに、悲劇のヒロインなんだもの。相乗効果で大変だよ。
クルーエルの意図しない場面で露出が多いのが、少し可哀想だけど。
意識を失っている時に裸にされたら、嫌だよね。
ネイトと一緒に居られる場面が作品を通して見るととても少ないの。
二人きりの落ち着いた時間が無いのかな。
最初の方、平和な時はお互いに意識していないし、
お互いに意識し始めた時にはぜんぜん一緒に居られないし。
もうちょっと、一緒に居る時間が欲しかった気もするな。
一緒に居られない時間が、より想う気持ちを強くするっていうけれど、あんまり会えないのも問題だよね。
……諠と言葉は、少し離れてみたら?

あ、ネイトはイブマリーの子供だけど、養子だよ。
…………安心した?
キャラクターの数は凄く多いのに、何故か覚えやすいの。
極端に嫌なキャラも居ないから、
ネイトとクルーエルをメインに、色々な人の物語に目を向けて欲しいな。

キャラクター
竹岡美穂さん。『文学少女』とか『ぴよぴよキングダム』とかの絵の人だよ。
文句なんて、無いよ。あるわけない。
名詠式の美しさ、ネイトとクルーエルの想いの切なさ、儚さ。
それらを表現するのに一番良い人を挿絵にしたと思う。
全部の絵が、綺麗。手を抜かれたものなんて一つもない。
だから、安心して。

雑記
この作品は、とても静か。
どれだけ騒がしい場面でも、どこか寂しいの。
でも、その寂しい感じが、すっごく雰囲気を出していて良いの。
……飽きちゃうって言う人も居そうだけど、あたしはこれで良いと思う。
長文がずっと続くところがあるから、ちょっと読みづらいかもしれないけれど。

んー、後はもう無いかな。
ちょっと最後が不満なんだけど、良いお話だよ。
……最後が不満って言うのはね、あたしとしてはネイトとクルーエルの二人きりで終わって欲しかったから。
これ以上言うとネタバレになるから言わないけど、そこが一番不満だったかな。