対談式(会話形式)やVNI形式のサイト・ブログを作ろうと思うあなたへ。
-稀神大社式『対談式(会話形式)文章』解説-

はじめに
 2人以上のキャラクターがまるで会話をしているように記事や日記などを書くスタイルを『対談式』と言います。会話形式対話式などとも言いますね。
 その中でも、キャラクターがサイトを管理している、という体のサイトでの対談式を『VNI形式』なんて言います。VNIというのはバーチャルネットアイドルのことです。故に、VNIではないサイトの対談式はVNI形式とは言いませんが、現在ではそもそもの数が数えるほどしか無くなっているからか、対談式を指してVNI形式という人も多いです。
 しかしながらVNIの本家である『ちゆ12歳』を始め、対談式ではないVNIサイトは数多く存在するため、この呼び方は不適切であると考えます(VNIよりも対談式の方が古いです)。故に、ここでは全て『対談式サイト・ブログ』で統一させていただきます。

 さて、対談式サイトは作者/管理人と架空のキャラクターが会話するという二次元と三次元の壁を超えたような手法で、ネット上ではパソコン通信の時代からレビューなどで見られたそうです(私がリアルタイムで見たわけではありません)。しかし総数としては僅かに見られる程度であり、オフラインでは著者があとがきでネタとして行うようなものでした。
 先述のVNIの流行で『VNI形式』の対談式が乱立し、多く目にするようになりましたが、その衰退とともに対談式も数を減らし、現在ではその頃から続くサイトが少数残っている他は2chで『やる夫で学ぶ~』などと言った解説系のスレッドに存在するものや、一部人気作(東方など)のキャラクターを使ったブログが少数あるのみであり、テキストサイトの終焉より早く消滅しようとしている、言わば『パソコン通信からインターネット黎明期の遺物』です。


 そんな対談式ですが、果たしてどのようなメリットがあるのでしょうか。


 まず第一に、この形式を用いたサイトの比率が圧倒的に何らかの解説/批評サイトであることから見てもわかるように、一人称で読者に解説するよりも読者と同じ視点、或いはそれに準じるキャラクターが居ることによって理解が促進されます。また異なる視点の意見/見解を自然に加えられるため、より説得力を持った記事にすることが可能です。或いはVNIのようにキャラクターそのものを売りにして、現実の事象を扱った、ある種の創作活動のようなこともできるでしょう。但し最後はオリジナルキャラクターである場合に限ります。

 このように、使い方によってはかなり有用な記述方法であり、現在は数も少ないために競合相手もいない手法であるため、「やってみようかな」と思う方もいるかと思います。
 対談式サイトが増えるということに対して、私はとても嬉しく思います。もしも何かしらの助言を求められたら(求められたことがありませんが)喜んで拝読しに行きます。しかし、何故少ないのかということや、事実として対談式サイトで1年以上更新が続くところは極僅かであるということを考えると、この形式を安易に導入しない方が良いと言わざるを得ません。しかしやはり増えて欲しいという思いはあるので、対談式を始め、そしてやめていった人たちがどこで挫折したのか、ということについて述べていきたいと思います。

※注意
稀神大社は管理人がほぼ我流で作り上げたせいか「稀神大社式(稀神式、大社式)」と呼ばれることがある程度には世間の対談式とは合致していない部分があります。なのでここに出ている内容が全てではないということを御理解いただいた上でお読みください。



1.更新の煩雑さ
 さて、会話程度の文章なんて簡単に書ける、と思っているそこのあなた。それは半分間違っています
 確かに対談式は誰にでも書けます。しかしそれは、誰でも文章が書けるというのと同じです。誰にでも出来ることで注目されるということはとても難しいことです。それは普通のテキストサイトと同じです。特殊性という意味で普通に書くより注目されるかもしれませんが。
 で、そういった安直な対談式は得てして「口は複数、脳は一つ」になりがちです。長文を小分けにしただけ全員同じ意見脳が共通でなければ成立しないような会話。読み返してそうなってはいないでしょうか。
 小説のキャラクターがそうであるように、対談しているキャラクターもそれぞれで考え、各個独立した印象(実際には一つの脳で考えているので)を与えなければ読者は面白くないでしょう。それを書くのは簡単ではありません。
 しかしそれが書けると、今度は「自分の調子で」書く事ができません(対談に管理人が登場すればある程度融通が利きますが、それだと片方が相槌マシーンになります)。普通に文章を書くことが出来ないのです。自分の思うところを自分のコトバでストレートに伝えられないとなると、もしかすると読者は自分が考えている風と違うように受け取ってしまうかもしれません(普通に書いてもそういうことがあるのですから)。自分の口で述べたいことを一回別の脳で考えたように翻訳して、尚且つそのキャラクターが言いそうなことだけを言わせる必要があります。その作業は普通に文章を書くよりも何倍も難しいでしょう。
 よく文字数を稼げる対談式は楽、という言葉を耳にします。が、文字数が稼げて何の得があるのでしょうか。論文じゃあるまいし、文字数が多くなることは「誰かに読んでもらう」という点に関して言えばデメリットです。分かりやすく読みやすく、尚且つ面白く。自分が思っていないことは書けないという点では、小説を書くよりも難しいかもしれません。


2.著者と読者の温度差
 これだけ頑張って書いたんだから読め! と更新しても、プロが書いた小説ですら読まない人が多いのに、素人が書いた会話文がすぐに受け入れられるでしょうか? 答えはNOです。頑張りと閲覧者数は比例しません。
 既存のキャラクター(アニメ等の)を用いて書けば読者はある程度の先入観を持って読んでくれるので受け入れられやすくはなりますが、キャラクターを崩せないので余計に自分が出せなくなる上に、仮に対談式が面白かったとしてもその人気の矛先はあなたの文章ではなくキャラクターへ向く可能性だってあります。つまりは誰もあなたを見てくれません
 オリジナルキャラクターを用いれば、キャラクター設定に融通が利きますし、人気が出ても創作者はあなたなので評価はあなたへ向いていると言っていいでしょう。しかしオリジナルで人気が出るには、既存キャラを用いるよりも何倍も努力が必要です。何と言っても、誰もそのキャラを知らないのですから、そもそも「読んでくれるまで」が大変です。途中の更新から読み始めた人はそのキャラの設定がわからないので仮に面白くてもついていけないかもしれません。そもそも、キャラの設定を考えるのが大変です。記事を書くまでに様々な下準備が必要で、尚且つそれが誰からも見向きもされないリスクを負っている。それがオリジナルキャラクターを用いた対談式と言えるでしょう。


3.誹謗中傷
 この形式に必ずついて回るのが誹謗中傷です。「脳内会話」と揶揄されます。大体はプロと素人に対する先入観の差なのでしょうが、特に管理人が対談に登場する場合に誹謗中傷が多く、またキャラ側に美少女が多いために「おっさんが妄想で美少女と会話している」として「痛々しい」とか「気持ち悪い」という言葉を全くオブラートに包まずに突き付けてきます。キャラ付けが出来ていれば出来ているほど管理人は痛々しい人間として扱われます。文章を読まずに対談式というだけでそういったことを言ってくる人も少なくありません。散々苦労してアップしたら、返ってくるのは中傷ばかり。そういうことが多々あります。
 対談式をやめてしまう人が多い一番の理由が誹謗中傷と言っても良いでしょう(対談式そのものの母数が限りなく減っているので最近はわかりませんが)。人気サイトには少なからず心無い中傷はつきものですが、対談式の場合、記事の人気如何に関わらず対談式というだけで叩いてくる人がいることを忘れないでください。
 叩かれるのは誰だって嫌です。でも、どれだけ叩かれても「ちゃんと読んでくれる人だっている」と思う心が、対談式サイト管理人には必要であると思います。


 以上のような点が、対談式というコンテンツを始めた人に待ちかまえている壁です。どうでしょうか。もしこれらに耐えられそうにないならば、あまり薦められません。中途半端に始めて、中傷されて、やめていく。そんなサイトが多すぎます。
 「悪いことばっかりじゃんマゾか」と思われそうなことをつらつらと書きましたが、これが(私が考える)対談式サイトを取り巻く現状です。



対談式サイトの作り方

 それでも始められる奇特な方用に簡単に「対談式の作り方」を説明します。過去に喋ったことから引っ張ってきている部分もありますので、文章のつながりなど不自然な部分もあるかと思いますがご了承ください。

 取り敢えず始める前にどんな種類があるのか知っておく必要があります。大まかに
既存キャラオリジナルキャラ
管理人を登場させるか否か
・二人か三人以上か
で組み合わせが作れるかと思います。尚、参考までに当社の場合を言っておきますと、当社は「オリジナルキャラ」で「管理人が登場しない」で「2人(最大4人)」です。

 まずは既存キャラを用いる場合とオリジナルキャラを用いる場合のメリットデメリットを見てみましょう。
既存のキャラクター
 メリット
・キャラメイキングをする必要が無い
・設定を明記せずとも読者が理解してくれる
・アイコンを付ける場合、有名ならば無料配布されている場合がある
 デメリット
・自由に動かしづらい(設定に縛られがち)
・下手なことを言わせると読者の反感を買う
・キャラで勝負できないので文章力をより要求される
オリジナルキャラクター
 メリット
・設定次第でTPOに合わせて好きなことを言わせることができる
・一次創作なので著作権を気にする必要が無い
・キャラそのものをサイトの売りに出来る
 デメリット
・キャラメイキングにたくさんの時間を要する
・設定を明記する必要があり、尚且つ初見でも理解できるようなものでなくてはならない
・アイコンを付ける場合、自作か他者に頼む必要がありハードルが高い
・読者に受け入れられるまでに時間がかかる

このようなことが言えると思います。一長一短あるのでよく考えてください。
 次に管理人が登場するか否かですが、これは先程(誹謗中傷項で)言ったので飛ばします。個人的には管理人が出てくるのは、好きではありません
 何故かと言えば、管理人が出てくるということは対談式のメリットである「複数視野」を潰しているからです。だって、あなたは管理人なのだから管理人以上のことは言えないでしょう? じゃあキャラには何を言わせるの? というわけです。それならただのQ&Aで十分であって対談式にする必要はありません。それに管理人が居ると変にメタというか現実めいていて、どこか気持ち悪く感じます(管理人が出てくることが、というよりもリアルとフィクションの組み合わせが)。先述した初期対談式の全否定のような形になってしまいましたが、あれはやはりプロがファンサービスの一環でやるから受け入れられるものであって、素人がその対談にしか出てこないキャラと対談していても、ちょっと、という感じがします。というか、だからアングラのさらにアングラのような扱いを受けていたのではないでしょうか。
 だから私は、管理人は存在しますが対談にはノータッチ、という分け方をしています。サイト説明から何からキャラがやっていたらそれはVNIですし、全部で対談していたら読むのが煩わしいというか初見だったら帰ります。だからこういう形式を取っていて、わたしはこれが対談式としては最善なのかな、と考えています(対談に男キャラがいるので私だとよく間違えられますが)。

 さて、組み合わせを決めたら取り敢えずは何でもいいから会話させてみることです。で、会話文が出来たら「きちんと会話しているか」考えてください。失敗対談式としては「文をぶつ切りにしたようなもの」が挙げられます。先述したように、脳が一つでないと成り立たないような「なんだその一文から切り取ったような返しは」ってやり取りが続くのでは会話しているようで会話していません。国語の授業で順番に当てられて読んでいるようなものです。
 また、あくまで会話なので括弧書きの状況説明はあまり入れない方が良いと私は思います。出来ることなら会話の中で状況が分かるようにした方が、いちいち状況を説明されるより面白いと思いますし。

 さて会話させてみたところで困るのはその表記方法です。見て模倣しろと言っても見るサイトが無いので困りますよね。取り敢えずは『名前:セリフ』で良いと思います。『名前「セリフ」』でも良いですけど。
 「え、アイコンは?」と思うでしょうが、アイコンを用いると貼りつけ方などで覚えることが非常に増えます。既存キャラクターでたまたま版権フリーの表情差分が多いアイコン見つけた、なら良いですが、オリジナルキャラで始めた方はアイコンどうこうじゃなくて先ずキャラデザからする必要があるので、そんなことをするなら先ずはそれなりにコンテンツを充実させましょう。当社だってイラストやアイコンがついたのは2年目、今のように全て同じイラストレーターさんで差分アイコンまで充実させたのは3年目です。知り合いにまだ出来ていないコンテンツのキャラのアイコンを表情差分込みで無償で描いてくれる、同人ゲームの原画家とか四コマ漫画の短期連載をやっている人がいるなら話は別ですが、居ないなら取り敢えず依頼相手に「逃げない」と信用してもらえる程度にサイトが充実してから頼みましょう。それなりにお金かかりますし。

  さて、仮に対話文が出来たとします。次のステップは色付けです。アイコンがあってもなくても、字の色は変更した方が良いと思います。シンプルに視覚に訴えかけるので読みやすくなります。

言葉:こんな感じです?
諠主:そうそう、そういう感じ。

こんな感じ。キャラの雰囲気に合わせて色分けすると尚良いです。

 で、この方法でやっていると一番悩むのは文章の長さだと思います。上の書き方だと長文ならセリフが2行になって名前のところと被りますよね。それだと読みづらいというか美しくない。でもその部分だけスペースで空けるとブラウザによって変に表示されますし(そもそも折り返し設定すらない場合、画面が広ければどこまでも伸びていく)、かといって2回にセリフを分けるのもおかしい(分ける人が多いですが)。ですんでフレームを使います。テーブルタグですね。
<table border>
<tbody>
<tr>
<td></td><td></td>
</tr>
</tbody>
</table>
が一番簡単なテーブルタグです。<tr></tr>が縦、<td></td>が横とでも思ってください。テーブルの枠を表示したくなければborderを消せばいいです。また、このままだと横に際限なく広がってしまうので、横の広さを決定します。
<table border width="800">
<tbody>
<tr>
<td width="100"></td><td width="700"></td>
</tr>
</tbody>
</table>
これで全体の幅が800、区分けが100700です。つまり
ちょーどこれくらいですっ。
アイコンが無い時は100じゃなくて名前の幅分で良いでしょうね。足して全体の幅になれば良いのです。今は便宜的にアイコンを用いていますが用いないと
言葉 こんな感じです。

まあ、最初はこんなんです。私自身大した技術はありませんのでこれ以上の事を言えないというのもあります。
 尚、アイコンを用いた場合文を真ん中に表示させる必要がありますが、それはCSSを使うので説明が面倒です。ので省きます。

 さて、後は面白い会話を作るだけです。まあそこが一番大変なんですが、取り敢えず状況が思い浮かぶような会話を心がけて作ってみてください。
 あんまりメタネタとかを最初に用いるとテンションが空回りして寒くなるだけですので、オーソドックスに取り敢えず普通に会話させてみましょう。料理と同じように変なアレンジをしないことが肝要です。

 ところで、対談式でやってはいけないこと、タブーが一つだけあります(私の中で)。それは誹謗中傷への返信です。絶対に愚痴っぽくなる上にメタネタなのでキャラクターの印象を悪くするばかりかキャラを壊しかねません。返信された相手は元より、閲覧した人も「うわ、ちょっと……」と言いたくなるでしょう。何より不誠実です。その誹謗中傷はあなたに対して寄せられたのであってキャラに対して寄せられたのではありません。だから、あなたがあなたとして返信するべきです。
 対談式は、キャラクターが読者に愛されて初めて成立するコンテンツです。だから当社だって、管理人は散々なことをしてきましたがかろうじて成立しています(勿論管理人が好き勝手していいわけではありません)。

 それでは、本当に導入の導入、というような部分のみを喋りましたが、対談式は本当に色々な可能性があると思います。
 レビューサイトにするもよし(当社と競合しますが)、ニュースサイトでもよし、解説サイトでもよし、VNIでもよし。あなたがやりたいと思うコンテンツを作ってください。

 最後に。この形式はHTMLが使えて初めて本領を発揮すると思います。ですので、ただ文章を書けばいいわけではありません。当然、HTMLが限定的にしか使えないようなレンタルブログでは話になりません(ブログ自体わたしとしては非推奨ですが、当社のようにサイトで始めると宣伝行為も徹頭徹尾自分でやる必要があるので、昔ならいざ知らず今やるのは相当マゾいです)。
 見た目と反して色々とやることが多いこの対談式ですが、あなたのサイトが見られる日が来ることを期待しつつ、筆を置かせていただきます。

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