1.純愛ゲーの定義、大前提
以前Twitter上で各人が喋られていたことを参考にさせていただきます。
ここで言われている「純愛ゲーは凌辱ゲーという考え方が生まれた時に同時発生した対義語でしかない」という考え方はWikipediaにも載っております。
  アダルトゲームでは、強制的な性行為を強調した作品を「陵辱系」というのに対し、恋愛要素を強調した作品を「純愛系」と呼ぶことがある。(wikipedia「純愛」項)
 では凌辱の対義語足るのかについて少々考えてみます。
 先ずここでいう凌辱という語ですが、
  女性に対し暴行の手段に出ること。→性的暴行・婦女暴行・性的虐待・強姦(wikipedia「凌辱」項) 
  暴力で女性を犯すこと。(大辞泉)

という意味のようです。要するに性的な意味で女性に対して暴行その他それに類似する行動に出る描写があるものを凌辱ゲーと呼ぶのだと思います(本義より拡大解釈されているようにも思えますがそれについては他の機会に譲ります)。
 ここで気にしたいのは凌辱というものが「行動」であるのに対して純愛というものが「感情」であるということです。また、純愛の対象が主人公とヒロインの間であるのに対して凌辱はその描写があれば全てあてはまるように思えます。
 場合分けとして、主人公以外の人とヒロインとの純愛、主人公とヒロイン間での凌辱行為がありますが、前者は群像劇若しくは寝取られで見られる描写で、後者は鬼畜ゲーと呼ばれるものか後に愛情に変わっていくタイプのものかでしょう。
 さて、では場合分けを考えたところで一切純愛描写がないものはどれかと申しますと、「主人公がヒロインを凌辱するタイプ」でしょう。「主人公がヒロインを凌辱していて、それを他のキャラ(仮にAとする)が救おうとする。ヒロインはAが好き」という場合はどうなるんだという指摘がありそうですが見たことが無いのでとりあえず放置します。また、主人公・ヒロイン以外キャラたちによる純愛を取り扱っている作品に関しても、ここではとりあえず置いておきます。
 ややこしくなったので一度整理します。
主人公とヒロイン間での純愛……1
主人公以外のキャラとヒロイン間での純愛……2
主人公とヒロイン間での凌辱……3
主人公以外のキャラとヒロイン間での凌辱……4
 恋愛ゲーム(美少女ゲーム)の話をしているので、恋愛描写に関して、一切主人公主体でない場合は今回に関しては除外させていただきます。故に、2に関しては前でも後でも主人公との恋愛描写が必要であるということです。
 さて、本題は純愛ゲーと凌辱ゲーが相反するものであるか否かですが、凌辱描写があり、純愛要素が見られない場合と言えばここでは3のみがあてはまるわけで、4はそれにあてはまらないと言えます。凌辱ゲーの考え方が根本的に違う可能性もありますが考え出したらキリがないので考えません。また、凌辱と純愛は暫定的に場合分けした際の記号のようなものでありAゲーBゲーみたいなものだからその語自体について考えるのはナンセンス、という考え方もあるでしょうがわたしはあまり賛成できません(凌辱ありの純愛ゲーが存在し得る以上)。
 では純愛ゲーとは何に対して生じた語なのかを考えます(何かの対義語として生じたというスタンス自体にはまれびとも賛成です)。といっても考えるわけじゃなくて賛成するだけになるのですが。述べられている意見を引用しますと、

  膨大な量のレビューを掲載されていた遺作さんが管理人をしていた『廃人の館』というエロゲーサイトのBBSに、当時私は棲息していたのですが、そこではエルフの『遺作』のような、要するに犯罪性描写のある作品を「鬼畜」、そうでないものを「純愛」と呼び習わしていました
  だから何ってわけでもないんですが、やっぱり私の時代は「鬼畜」(木築)だったんですよね。だって「凌辱王ランス」じゃなくて「鬼畜王ランス」なんですよw
  少なくとも『V.G.』ぐらいの時代は、鬼畜とか純愛とかいう分類は無かったように記憶しています。ネットがなかったので情報を見られなかっただけかもしれませんが……。2000年くらいは、鬼畜という言葉がでてきて、鬼畜ルートに対してそういう展開にならない奴のことを純愛ルートと呼びだした?


 凌辱と純愛ではなく鬼畜と純愛が対義語、という考え方ですね。わたし自身古い作品に詳しくはないので言及できませんが、例えばどちらも併せ持った作品が見られます。『神語』や『永遠のアセリア』ですね。どちらもBADみたいな扱いですが古い作品ほど選択肢如何でヒロインの事を凌辱もできることが多いように思えます(古くは『天使たちの午後』。もちろん今でもありますが)し、今でいう純愛層もそれらの作品に手を出していたように思えます。
 さて、ここでいう凌辱ルートというのは「(主人公がヒロインを)凌辱するルート」であるものが多数であるように思えます。さっきの番号で言うと3ですね。ここまで見て、「(主人公がヒロインを)凌辱するルート」を拡大したもの(つまり3に4を足したもの)が凌辱ルート及び凌辱ゲーであり、元々の凌辱ルート的存在である「(主人公がヒロインを)凌辱する」ものを「鬼畜ルート(ゲー)」と呼んだのではないでしょうか。と考えるのならば、純愛ルート(ゲー)と対になるのは鬼畜ルート(ゲー)であり、4のような場合は言及される場合はあっても凌辱ルート(ゲー)とは思われていなかったのではないかな、と。また、これらルートのみに特化した作品が出始めたことで「○○ゲー」と呼ばれるようになったのでは、と思います。

結論:元々は純愛ルート(正規ルート)と鬼畜ルートの対比であり、後にそれぞれに特化した作品が出た。

続きます

平成24年02月10日 まれびと