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タイトル | いつか、届く、あの空に。 |
ブランド | Lump of Sugar |
発売日 | 2007年01月26日 |
ジャンル | ノベル式天体観測シネマNVL |
対応OS | Windows98/Me/2000/XP/Vista |
価格 | 8800円 |
中古相場 | ゲーム情報館(仮)へ |
原画 | 萌木原ふみたけ |
シナリオ | 朱門優 |
音楽 | 大川茂伸、末廣健一郎 |
ボイス | 有 |
FD | 無 |
全年齢版 | 有 |
作品あらすじを表示/非表示
──この街には、決して越えられない「雲」がある。
ずっとずっと、夜空の輝きを遮ってきた雲がある。 だから、星空が遠すぎて。 小さな願いは、いつしか大きな憧れへと変わっていった。 雲に包まれたこの街で。 満天の星空を夢見る少女たちがいる。 ──これは、柔らかくゆるやかな日々に、淡い夢を見るお話。 ──どこまでもどこまでも── それは、空が青く澄み渡っていた日の朝。 巽の家を出た策は、この街へとやってきた。 空明市。 まるであの空を切り取り、名刺代わりに差し出されたような名の。 ──どこか優しく頬を撫でていく、この街の空気。 「お前は好きに生きなさい」 あの厳格な祖父にそう告げられた時、策は自分が巽の者として失格した事を理解した。 わかっていた事だ。 ずっとずっと昔から、わかっていた。 それでも受け入れてしまう事はできなくて、諦めきれなくて、 無様に努力だけを続けてきた。 父のように。 兄のように。 自分にだって、巽の家に生まれついた者が持っていて当たり前のものがあるのだと、 認めて欲しかった。 けれど今、自分はここにいる。 祖先が住んでいたという、古ぼけた屋敷が目の前にある。 「巽の者を代表して、誰かがあの街に行かなければならない」 祖父がそう告げた時、ろくに内容も確認せず、策は話に乗った。 それが、あの家から出る理由となるのなら。 この街の優しさに少しだけ甘えながら。 新しい生活が始まるのだと。 そう決心して、これから住まう事になる屋敷の門を潜った── これは、柔らかくゆるやかな日々に、淡い夢を見るお話。 ……そして、ゆっくりと。 ゆっくりゆっくりと、 雨が降り積もっていく物語。 |
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ヒロイン紹介 | |
唯井ふたみ(遠井実瑠) 「お前のヨメだ」と、策の前へ唐突に表れた少女。 とにかく無表情で、入居したばかりの屋敷に結婚を前提に引っ越してきた。 結婚を意識しているからか自ら進んで家事を引き受け、文句一つ言わず見事にこなす、家事全般が得意な少女……というか、家事ジャンキー。得意技は「善意の追い込み」。 「コミュニケーションにおける妥当な言葉の選択」が根本的に間違っているので、本人は慰めているつもりが相手に逆効果なのは勿論、最悪。自殺寸前まで追い込んだりする。 だが、やっている事そのものはとても思いやりに溢れている。 その為、「裏ボランティア」「逆懺悔僧」「超聖母」などと数々の異名で呼ばれている。 「双子座」の天文委員であり、策を騒動に巻き込む張本人。 |
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桜守姫此芽(風華) 空明市における名家・桜守姫家の息女。 古い歴史を持ちながら、未だに成功例の無い「照陽菜」 ――しかし「彼女ならば、もしかして」と期待されている「乙女座」の天文委員。 立ち居振る舞いは非常に優雅であり、言動の端々から育ちのよさと共に理知的・良識ある気遣いがうかがい知れる人格者で、常に周囲から尊敬と羨望を集める。 その様は「お嬢様」というよりも、策曰く「物語から飛び出したお姫様」。 彼女のすごいところはその風貌にまったく違和感がない事であるのだが、 初対面のはずの策を前にしてひどく動揺し、なぜか嫌われる方向へ努力を始めた。 とはいっても他人を侮辱・中傷するような言動をそもそも取る事をしない(できない)性格であるので、本人は頑張っているつもりなのだが、素敵に弾けた空回りっぷりを見せる。 彼女の今後の課題は、もっとひどい事が言えるようになる事である。 |
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明日宿傘(北都南) 独特の不思議オーラを振り撒く、おっとりとした先輩。 策の一つ年上で、「獅子座」の天文委員。 分け隔てなく誰にでも優しい皆のよきお姉さんで、ふたみには殊の外に慕われている。 ときどき突拍子もない事を言い出すが、彼女が口にすると本当にそうなのではないかと思えてしまうから不思議だ―― 周囲がどれほど険悪なムードであっても、ただそこにいるだけで癒してしまう。 その時点ですでに彼女のアスク時空に呑み込まれているという事なのだが。 恐ろしいほど食い意地が張っており……というか、そんな次元はすでに超越している食の王者。 彼女が肌身離さず持っている和傘は謎が多く、なかから様々なものが飛び出す。 |
購入動機 『イラストが気になって』 | |||||||
オススメ度 | お気に度 | シナリオ | テキスト | 立ち絵 | 一枚絵 | 音楽 | 雰囲気 |
7/10 | 9/10 | 8/10 | 10/10 | 9/10 | 9/10 | 9/10 | 9/10 |
お気に入りキャラ 桜守姫此芽 |
序 | |
主さまー、ちょっと質問があります。 | |
……んー? | |
……もしかして忙しいですか? | |
いやー、そういうわけじゃないけど。ちょっと集中してたから。で、何? | |
集中? なにしているのですか? | |
昔やったゲームをやり直してただけだけど。結構好きなゲームだからさ。 | |
ほぇ、わたしが知っているやつですか? | |
どうだろう。これだけど。 | |
んっしょ。あー、見たことはありますけどわかんないです。 | |
そっか。 ……で、それはそれとして何で乗るの? |
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まーまー、この作品についてお話してもらう流れなのですから、いーじゃないですかー。 | |
あーそっか……じゃないよ! 全然関係ないじゃん! | |
……いやですか? | |
……嫌ではないけど。 | |
ふふー。それじゃー、お話してくださいっ! | |
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文章全般について | |
このゲームの主人公、巽策は要らない子でした。 | |
まあ大体の主人公はそうですよね。ヘタレとか。 | |
誰がプレイヤー主眼の話をしましたか。作品内設定としてそういう感じなんだよ。 | |
……それは、ヤな感じです。どういう状況なのですか? | |
主人公の家、「巽家」は名家で、皆何らかの才能を持って産まれてくる。勉強でも、美術でも、何でもいいから一つは世界を狙える才能がある。だけど、主人公には無い。 | |
……それで、要らない子ですか。人の価値は才能で決まるものじゃないと思いますけど。 | |
このちゃんは、優しいね。 | |
えへへ。 | |
でも主人公、巽策はそうは思わなかった。自分は負け組、要らない人間だと思っていた。 そんな時に、昔一族が居た街に一族を代表して誰かが行かなければならないという話が持ち上がったの。そして、策は一も二も無く飛びついた。劣等感から逃げよう、新しい土地で新しい人生を始めようってね。 |
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……まー、それがいちばんかもしれませんね。環境が変わると新しいものが見つかるかもしれませんし。今まで頑張って耐えたのですから、次のステップに進んでもいいと思います。 | |
そういうわけで、ボロ屋敷だと思っていたら何故かフルリフォームされていた武家屋敷で、何故か中にいたお嫁さんと一緒に新しい土地での学校生活をはじ――何? このちゃん。 | |
なに? じゃないです! いきなり違うゲームの話をしないでくださいっ! | |
……いや、同じゲームだけど。 | |
…………これだから主人公は。 | |
……ま、まあ確かになんだかんだで充実しているけど。 でも本題はそこじゃないんだよ。その町は何故か夜になると雲が出てきて、決して星空が見えない。それを天文委員会と呼ばれる少女たちが、どうにか解決しようとする。 |
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はぁ、雲ですか。 最初の主人公の設定以外は、なんといいますか、ファンタジーでふわっとした感じなのですね。ふつーの学園ものというのでしょうか。そんな感じなのですか? |
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そう思ってプレーした方が面白いかもしれない。意外性、という意味合いで。 | |
……はい? | |
このちゃんが最初に受けた印象は間違いじゃなかったってことだよ。 | |
と、いうことは猫をかぶっているってことですか? | |
その表現はなんか違うような……。 元々のベースがあって、それをより効果的に見せる為に序盤の、読者が作品に入り込む部分を柔らかくした。で、慣れてきたところで元に戻す。そんな感じ。 |
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……なんかわかりにくいです。もうちょっと噛み砕いてお願いします。 | |
そうさねぇ……。 この作品には第一部第二部が存在して。雰囲気が一変するの。一見別の作品じゃないのかってくらい違うんだけど、全体を見ると全てが纏まっているんだよね。そういう、パッと見水と油のように融和性のなさそうなものが、絶妙なバランスで纏まっている、大作。 |
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大作、ですか。 雰囲気が変わるって、具体的にどうなるのですか? |
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萌えから燃えっていうのが一番分かりやすいのかな。学園ものがバトルものになる。だからハッとなるんだよ。意識してないから。 | |
……どういうことですか? | |
日常パートなんてそう意識して読まないでしょう? でもそれら全てに大なり小なり意味があった。しかも一見超展開のような関連性が無さそうなシナリオなのにも関わらず。……なんて感じだったら、ハッとするでしょう? 真実にたどり着いた時に。 | |
それはたしかにしそうですけど……わたし聞いちゃいましたよ? | |
大丈夫大丈夫、このちゃんじゃわかんないから。 | |
……そこはかとなくバカにしてますね? | |
いやいや、そうじゃないよ。それほど「隠す」ということに関しては一級な作品だってこと。 伏線を伏線と見せず、最後まで伏線だと感じさせない。だけど糸口がちょろっと見えたら引っ張ると――膨大に張り巡らされた糸が見える。 |
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……それって気付かなかったら最後まで気付かないってことですよね? ダメじゃないですか。 | |
その時はまあ、『超展開』の三文字で感想を締めくくるのかもね。だけど一度気付いたらどれだけ筆舌に尽くしても尽くせない。 主人公一個人の問題だと思いきや、祖先まで、神話まで遡る。町だけの問題だと思っていたら、世界の根幹が関わる。だけど結局のところ――やっぱり主人公と、そしてヒロインの問題に戻ってくる。 この『学園ものの皮をかぶった燃えゲー』なんていう一見何の脈絡も無いぶっ飛んだ話に、見通せないほどに膨大な伏線が張られている。気付いたら、凄いんだよ。このゲームは。 |
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……なんかすごそうなのは伝わってくるのですけど、内容が全然伝わってこないです。 さっきから聞いていますけど、どういうお話なのですか? |
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それが説明できたらどれだけ気持ち良いことか……。 | |
…………主さまがトリップしちゃってます。 じゃ、じゃあ学園ものの部分で主さまが好きなところはなんですか? |
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そうだねぇ……。何と言っても会話が一級に面白い。 それだけならまあ色んな作品であるけれど、この作品は緩急メリハリが異常なまでについている、という点が最も特筆するべき部分だと思う。 |
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異常なメリハリってどんなのですか……? | |
メタだったり作品の雰囲気に全くそぐわないようなギャグをバシバシ言う一方で、真面目で綺麗で穏やかなことを言う。1か0か、ギャグか真面目か。まるでスイッチみたいに切り替わる。そういうメリハリの利いた魅せ方が異常に上手い作品だと思う。 | |
なるほど。……でも、ギャグパートとシリアスパートに分けている作品なんてよくありませんか? | |
それはパートでしょう? これは一言喋っただけで、一瞬感じただけで、パッと切り替わるの。滅茶苦茶なギャグ展開が多いのに、最後にはなんか良い話で纏める。そんな感じ。 | |
……ホントにそれが出来てたら、すごそうですけど。それじゃー、後半の燃えな部分はどうなのですか? | |
第二部はヒロインの魅力をシナリオで肉付けしている、という印象が強いかなあ。勿論本義的にはシナリオの真実が明かされていくパートなんだけどね。それがヒロインの魅力に直結している。 第一部で見ていたものはあくまで表で、主人公はヒロインの表側だけしか見られて無かったんだよ。シナリオの真実と共にそれに気付いていく過程が、大好き。 |
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……やっぱりわかりにくいです。というかさっぱりわかんないです。 | |
んー……ホント説明しにくい作品だよなあ。 基本的にあらゆる『嘘』や『偽』で塗り固められた作品だからヘタなことを言うとネタバレになるし、かと言ってフィルタリングして説明しようとすると伝えたい情報が有り過ぎて選別できない。 「ギャグが秀逸で伏線が物凄い! だけど最後までやっても考察サイトを見ないとシナリオの全貌がわからない程わかりづらい!」って言い放って渡してやらせた方がいいのかもしれない。 |
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なんだか色んな対義語が説明に出てくるからわかりづらいんですよぅ……。 なんで今回に限ってそういう単語ばかり出てくるのですか? |
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それらが全部出てくるから。確かに言われてみれば片方だけって出し方はしないね。表があれば、必ず裏がある。 ……シナリオに関しては、正直この後にどれだけコトバを重ねてもこれ以上の情報は出せない気がするな。 |
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……結局よくわかりませんでした。 んっと、それじゃー最後に一つだけお聞きしますけど、この作品をやるときに気をつけることはなんですか? |
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気をつける、か。この作品は嘘にあふれているということと、事前知識が無いとどう頑張ってもシナリオが理解できないけれど、決して伏線が無い超展開ではないということ。後はいわゆる大円団が存在しないことかな。 | |
事前知識って、なんのですか? | |
北欧神話。この作品はそれを題材にしているからね。それも、聞きかじったように取り入れたんじゃなくて、熟読して独自に解釈してそれをアレンジする程度に深い意味合いで。 | |
…………そんな異教の知識をわたしに求められましても。 | |
異教て。 まあ、読んですぐ理解する必要はないんじゃないかな。理解できなくてもさっき言った「ヒロインの魅力を肉付け」、という意味では機能しているし、作品は楽しめると思う。 シナリオは、考察サイトを読んでおさらいすれば良いと思う。というかそれが楽しいんだよ。 |
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一粒で二度おいしい、ですか。それは……お得ですね? | |
それを面倒くさいと感じるか、お得と感じるかの差がそのまま作品評価の差に繋がっている感じもするけどね。一本の作品に時間をかけることを躊躇わない人なら、オススメ出来るかな。 | |
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イラストなどについて | |
……なんだか疲れました。 | |
奇遇だね、僕もだよ……。 | |
……まさか、イラストはそんな難しいことはないですよね? | |
無い無い。見た通りの印象。 | |
主さまはこういうのも好きなのですか? | |
そうだねぇ。目の描き方が特徴的だと思うんだけど、割と好きだよ。特に一枚絵は細かく、キャラが映えるように描かれているし、何より綺麗。 | |
たしかに、綺麗です。それじゃー、不満とかはないのですね? | |
無いかな。逆に褒め称えたいところはあるけど。 | |
なんですか? | |
先ずは色遣い。これもシナリオに配慮して抑えめな色合いだよね。同じ赤でも、落ち着いた赤、というように。この人、萌木原ふみたけの他の作品って色合いが派手な作品が多いから、この作品の色遣いが際立って良く見える。 | |
……それって他の作品の色はダメって言ってませんか? | |
……まあそれは置いておこう。 次に、キャラデザ。この作品は北欧神話を題材にしているけれど、どこまでも和風な作品でもある。それを端的に表した和洋折衷なアレンジが素晴らしいと思う。 |
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例えばどんなのですか? | |
割烹着とメイド服とか、洋服に番傘とか。合わないような気がする二つを合わせてより良くしている。そんなキャラデザにこの作品の良さを見たよ。 | |
……ふむ。 | |
なにメモ取ってるの。 | |
いえ、こっちの話です。 | |
廻り廻って僕の話になりそうだから言っておくけど、そういう服を着ようとか思わないでね。 | |
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音楽、歌などについて | |
1stOP『あの雲の向こうへ』2ndOP『SHOOTING STAR』ED『届く心、抱きしめて。』 | |
音楽もまた素晴らしいんだよ。何故って | |
わよーせっちゅーですか? | |
その通り。古臭くないけれど日本的。雅やかだけど活発。そんな曲が多いと思う。 | |
……イメージしづらいです。 | |
後で聞けばわかるよ。BGMにしておくのは惜しいなと思える曲ばかりなのだけれど、BGMにすると凄く合ってるんだよねえ。 | |
はー、それは聴いてみたいです。……あ、せっかくなのでBGMにしてこれを食べましょう。 | |
どっから出したのそのケーキ。 | |
ここです。といいますか、そもそもどっちがいいか聞きに来たんです。 | |
ああ、そういえば質問がどうのって言ってたね。 | |
です。じゃーわたしはこっちのチョコなので、主さまはこっちです。 なにか飲み物いれてきますっ! |
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既に決まってんじゃん! 聞きに来たんじゃなかったの!? ……ってもういない。 | |
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キャラクターについて | |
はー。やっぱりケーキには紅茶です。 | |
元気出た? | |
あい。の〜みそコネコネしたあとはやっぱり甘いものですよねっ! | |
また古いことを。さて、休憩もしたことだし続き話そうか。 | |
じゃー、キャラクターについて教えてください! | |
ん。まず作品の特徴として、悪人が存在しない、というのが挙げられると思う。 | |
……それは好きですけど、燃えな感じなのですよね? だったら悪い人は必要なんじゃないでしょうか。 | |
んー、言い方を変えようか。正義の反対は悪じゃなくて、もう一つの正義、ということ。それぞれが信念のもとに行動していて、それぞれ筋が通ってる。だから対立してもどっちが悪ということは無いんだよ。 | |
……よくわかりました。戦争ってそういうものですよね。 | |
そうだね。で、ゲームに於いてはしばしばヒロイン主人公連合と敵対勢力、という形になると思うんだけど、この作品は違う。それぞれのヒロインに勢力があって、それぞれが対立する。 | |
…………じゃあ、円満解決はしないってことですか? | |
そういうこと。最初にも言ったけれど誰かを立てれば誰かが犠牲になる。それぞれのシナリオでは個別ヒロインの描写しか無いから、状況推測でしか無いのだけど、全てが同時進行していれば全員の円満解決はあり得ない。 | |
で、でもそれってあれじゃないでしょうか。『kanon』とかでいわれてた | |
『kanon問題』なんて良く知ってるね。 でもあれとは違うんじゃないかなあ。『kanon問題』っていうのはAヒロインとBヒロイン、それぞれのシナリオは両方主人公の力で命が助かる、というものだとしたら例えばAのシナリオではBはどうなるのか、ということだけど、この作品はそれを設定に織り込み済みだから。 |
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織り込み済みって、設定上そうしているってことですか? | |
設定上というかシナリオ上かな。ヒロインの生死を超えてシナリオの設定がしてある。あくまでシナリオの収束というものを優先して作られているってことだね。まあ、安易な解決をされるよりは余程好印象だけどね、僕としては。 | |
わたしは……微妙です。みんな悪い人じゃないっていうのは好きですけど、だから余計にみんな笑っている終わり方をしてほしいといいますか。 | |
言いたいことは分かるよ。まあ、好みの問題だよね。僕は悪人は最後まで悪でいて欲しいし。 | |
むぅ。そこら辺は相いれないです。 ところでキャラクター個別はどうなのですか? 好きなキャラクターとか。 |
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そうだなあ。ヒロインとしては、ふたみと此芽がツートップだと思う。前者は言い方が斜め上過ぎて勘違いされやすいけれど、物凄く気の利く子。普通は思いつかないような気回しを平然やってのけて、尚且つそれを当たり前だと思っている。 | |
……色々と参考になりそうなヒロインです。 | |
後者は、絵本の中から出てきたような和装のお姫様。全てが優雅で誰にでも優しいのだけど、主人公には悪態をつく。だけど悪態をつき慣れてないからよくミスる。此芽のシナリオは主人公に対する想いが本当に細やかで、何度でも見たくなるね。展開も分かりやすいし話も一番纏まってる。 | |
主さまは、此芽がいちばん好きなのですか? | |
そうかな。自分の命よりも主人公を大事にする、というスタンスがこの二人にはあったのだけど、此芽の方が奥ゆかしさがあって感動を誘うし話の展開も痛快だし。キャラとシナリオが相まって一番好みかな。 | |
自分の命より大事、ですか。そういうのが好みなのですか? | |
と、いうよりもそれが出来るのが凄いなっていうこと。安直に『永遠』だの何だの語られるのはうんざりするけれど、此芽には足り得る想いの重さがあった。だから好き。 | |
わたしは、なにか違う気がします。自分が死んで好きな人を生かすのって、きっといちばんのエゴです。相手をいちばん想っているようで、いちばん理解できていません。 | |
ほう。なかなか深いことを言うね。 | |
……そうですか? あたりまえな気がしますけど。 | |
でもこのちゃん理論だと、相手の命の代価が自分の命だった場合、見捨てるってことになるのかな? | |
なんでそうなるのですか。主さまのバカ。 | |
えぇー……。じゃあどうするのさ。 | |
後を追います。 | |
いのちをだいじにーっ!! | |
ひぅ。……だ、だって一緒じゃないとヤです。どんな形になっても一緒です! | |
はぁ。……あれ、その考えで行くとこのちゃんが死にそうな時どうなるの? | |
その時は、先に行って待ってるのでちゃんと全うして後から来てください。 | |
矛盾してるしズルくない、それ。めっちゃエゴじゃん! | |
……あ、愛は矛盾するものです。 | |
愛じゃなくてこのちゃんが矛盾してるんでしょうが。 | |
……むーっ! ………………あ。 |
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うん? | |
わたしだけで考えるからして欲しいこととしたいことで矛盾するんです。やっぱり相互リンクしないとダメですよね。つまり | |
じゃあそういうことで。僕は | |
ぷりーずらぶみー、ぬっしさまーっ! | |
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ひとこと。 | |
クリアしたらこれをチェケラ。 | |