タイトル ワンコとリリー
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発売日 C70 2006年08月11日
通常版 2007年03月30日
ジャンル ノベルタイプAVG
対応OS Windows98/Me/2000/XP
価格 3800円
中古相場 C70 2780円
通常版 3080円
原画 桜沢いづみ
シナリオ トノイケダイスケ
音楽 安瀬聖
ボイス
FD
全年齢版
STEP.1 数年かぶりに戻った実家…
そこで僕を待っていたのは
何も変わらず居心地の悪い空間
冷たくなった父、幼なじみの透子さん
それから──小さなワンコ
大嫌いだった父から、ペットを苦手とする僕への
それが最後の置きみやげ。

STEP.2 僕への置きみやげは…
わんわんと泣くばかりのやかましくうっとうしい
僕のもっとも苦手とするタイプであるところの
その迷惑な忘れ形見を
けれども僕は捨て去ることができなかった
泣く子には勝てないということなのか
透子さんのお願いだったからなのかはわからないけれど…
とにかく今、僕の傍らには、泣き虫なワンコの笑顔がある
ヒロイン紹介
透子
二つ年上の幼なじみ。
穏やかで女性らしい性格の持ち主。
可憐な容貌も手伝って男性からアプローチをかけられることもしばしばなのだが
本人は可愛い動物たちにご執心で異性に対してまったく関心を示さない。
例外的に二つ年下の友人であり主人公のことは実の弟のように可愛がっており、
また、もっとも身近で気軽に接することができる男性として信頼してもいる。
主人公の実家にあたるペットショップの従業員でもあり、
可愛い幼なじみのためにと主不在となった店の残務などを一手に引き受けている。
また一方で、その強い信頼感から行き場を無くしたワンコを彼に預けようともする。
ワンコ
バカで泣き虫で甘えん坊の犬。
主人公の父が生前どこからともなく拾ってきた子で、
透子の強い希望もあって「ペットは苦手」と公言する主人公に預けられることになる。
甘えん坊で泣き虫、好奇心旺盛でそのくせ臆病と手のかかる性格をしている上、
凶器じみた強烈な泣き声の持ち主でもあり、日々主人公の頭を悩ませている。
自分や気に入った人の名前を認識し、
区別する程度の頭脳と聴力は持っているが
発声に若干怪しいところがあって、自分のことを「あんこ」と言う。
(しかし主人公に「あんこ」と呼ばれると「あんこー!」と怒る)
小さな体には不釣り合いの大きな耳と豊かな尻尾がチャームポイント。
引き取られて間もないが異常なほど主人公になついてしまっており、
隙あらば構ってもらおうとまとわりついてくる。
リリー
透子と共に暮らす犬。
元々は透子の手により育てられていた商品で、
色素の欠けた肌や瞳、銀色の体毛が特徴の高級種。
今回のショップ閉店に伴い、透子自らが買い上げた。
透子曰く「頭の良い子」であり、実際に人間の会話を理解しているような節もある。
しかしワンコとは正反対の性格で感情や意志といったものを表に出さないため、
そうした特徴が表面化することは少ない。
加えて、人見知りする性格で透子以外の存在との接触を避けようとするため
歩み寄ることもできず
感情任せで扱いづらいはずのワンコ以上に理解しがたいようなところが多々ある。
しかし今回
「二人なら友達になれるはず」
と信じる透子によってワンコと強制的に引き合わされてしまい、
以後まとわりつかれることになる。

購入動機:『さくらむすび』をやって
オススメ度 お気に度 シナリオ テキスト 立ち絵 一枚絵 音楽 雰囲気
10 10 10
お気に入りキャラ:透子



 序
はー…………。
……何まったりしてるの、このちゃん。
あー、主さまぁー……。……んしょ。ちょっと、これやったらボーッとしちゃいました。
これ? ……って、『ワンコとリリー』じゃん。何でまたこれを。
んっとですね。最初は、けもみみが好きな主さまの気持ちを理解しようと――
はいストップ。
もごっ!?
はー……、なんでこう毎度毎度このちゃんの中で僕の事をキャラ付けしますかね。
んーっ! んむーっ!!
まあ確かに、嫌いじゃないですよけもみみ。でもそれが目的って思われるのはちょっとあれかなっていうか、僕の中の何かが赦さないっていうか。大体この『ワンコとリリー』にしても言えるけど、メインとなるのはそこじゃなくってさ、あくまでこのけもみみはおまけでしかなくって――
…………
――あ、ごめん。
ぷはぁ!? はー、はー、はー…………。……むー!!
痛っ!? 痛いって! だからごめんってば!!
……ホントにそう思ってますか?
思ってる思ってる!
じゃー、お話つきあってください。それでとんとんです。
……お話って、なんの?
もちろん、これの、です!
幕間
 文章全般について
で、これについてのお話って、何?
あのですね、ちょっと不思議だったんです。
不思議?
はい。
……何が?
んぅー……うまくいえないんですけど、ただお話をしながら歩いているだけなのに、面白かったんです。それで、なんでだろうって。
……ふむ。このちゃん、これのあらすじ言ってみて。
へ? あらすじって……。んっと、この作品は犬がまるで人間みたいな見た目で描かれているんですけど、その子たちを連れて主人公とヒロインが散歩しながら歩くだけです。
……それだけ?
…………それだけじゃなかったですか?
いや……うん、まあ間違っていないか。でも重要なことが抜けていると思う。
なんですか?
この作品のシナリオは全て「過去」にあるってこと。昔こんなことがあって、当時はこういう風に思って、といったような。それを「今」思い返して、どうこうって話でしょ、これ。だから決してシナリオが無いわけじゃないんだよ。彼らがそこに至った過程というのを、散歩という中でゆっくり思い返しているの。
……じゃあ、面白いなって感じたのは
主人公たちの想いが、それだけ伝わってきたんでしょう。基本的には主人公と父親の確執の話だけど、そこからワンコたちの話や、自分とヒロインの透子さんの話になって。共通したテーマは『愛情』だと思うし、プレーしているとなんだか優しい気持ちになれるよね。
そうなんです。読んでいると、なんだか幸せな気持ちになってきます。いろんな『好き』って形があって、幸せってこういう形なのかなって思いました。
だよねー。ずーっと同じ話ばかりするんじゃなくって、ころころ話を変えてくるのも飽きなくていいし。話の変え方も、散歩中であることを思い出させるようなことだから、上手いなって感じたよ。
あー、たしかにそうでした。むつかしい話が続いたなって思ったら、ワンコが出てきて和ませてくれたり、そんな負の感情なんてどうでもいいって思っちゃいました。
それでいて、きちんとワンコ達の境遇、ペットとなる他の犬たちの不遇についても触れてる。そういう風にプラスとマイナスを上手く出すことによって、決して薄っぺらい作品じゃないと思わせてくれる。現に、長くないのに終わった時の満足感は凄かったし。
ホントに、歩いているだけでこんなに面白い作品が作れるんですねー。
そうだね。まあ、前向きな作品じゃないとは思うけど。
前向き?
足は前に進んでいるけれど、気持ちは止まっているよねってこと。だから散歩なのかなとも思ったけど。
……どういうことですか?
人は過去に戻ることはできないんだから、常に前に進み続けなければいけないでしょう?
でも、前に進み続けるだけじゃ疲れちゃう。だから散歩をして、前に進むために過去の整理をしているのかなって気がしたよ。あと、気分で別の道に行ったり、休憩したり、寄り道したりしながらゴールを目指す様は、生きるってことに似ている気がしない?
はー……。いろんな感じ方ができるのですね。
まあ、解釈は人それぞれだからね。僕はそんな風に2つ以上の意味を感じ取ったけど。
わたしはー…………なんとなく、面白いなって感じてただけで、そんなにたくさんのことはわかんなかったです。
いや、それでいいんじゃないかな。
……ですか?
人に伝えるのなら、きちんと「なぜ」が分かんなくちゃいけないとは思う。でも自分で咀嚼している分には、ただ「面白い」で十分だよ。変に考えちゃうと逆につまんなく思えちゃう時だってあるし。このちゃんにとって、『ワンコとリリー』は面白かった。それでいいんじゃないかな。
……むぅ。でも、わたしもそういうこといえるようになりたいです。
そっか。じゃあまあ、作品が面白くなくならない程度に、「なぜ」を考えてみるといいと思うよ。
あい、そうします。
幕間
 イラストなどについて
ところで主さま、この絵って上手いのですか?
いや、僕に聞かれても。このちゃんはどう思ったのさ。
あんまり。
……まあ素直は美徳だけれども。でもそっかー。僕は好きだけどなあ。ちなみにどの辺が?
だって、目が大きすぎます。
それは上手下手じゃなくて趣味趣向の問題じゃなかろうか言葉さん。
…………まー、そうともいいます。
そうとしか言いません。ま、確かに角度が急だったりして時折首をかしげたくなることはあるけれど、総じて可愛らしいから好きだよ、僕は。優しい感じがするよね。
あ、それは思いました。あったかいっていうか、文章にとってもあってるなって。
そうだね。単体での上手下手よりも、文章との兼ね合いのが大事だと思うよ。そしてこれは、とっても合っていると思う。
幕間
 音楽、歌などについて
OP『Especially for you』 ED『散歩日和』
そして何よりも素晴らしいのは音楽だよ。音楽。
よかったですねー、静かなのに、楽しげでした。
そうそう、そうなんだよ。テンションが高い曲ってちょっとうるさいなって感じる事が多いんだけど、これはそれが一切ない。前提としてあくまでも「綺麗」があるんだよね。
ですです。だから、最初から最後まで一貫した感じがしました。
ね。歌もどっちも良かったし、もう言うこと無いよ。
幕間
 キャラクターについて
で、主さまはワンコとリリーのどちらがお好きですか?
選択肢足らなくないですか言葉さん。
エコです。
なんでも削減すればエコになるわけじゃないよ!
……じゃー、どれが好きなのですか?
急にむすっとしましたね……。いやしかし、透子さんは凄く良いと思うよ。年上キャラの理想形だと思う。
まあたしかに、よかったですけど。
でしょ? きちんと正しい方向に導いてくれて、それでいてこちらの意も酌んでくれるって、素晴らしいと思う。幼馴染ってこともあってエピソードも豊富だし、それが作中で語られるのも良いね。
びりびりー、ですか。
よく覚えてたね。あのエピソードは僕も好きだよ。何度でも見ちゃう。
ふーん。それで、ワンコとリリーのどっちが好きですか?
ああ、必須イベントなんですねそれ……。
んー……リリーのが好きかなあ。いや、髪色が紗綾っぽいからとかじゃないからそういう顔やめて。
……じゃー、なんでですか?
「ごちそうさま」っていうイベントが好きだからかな。努力が実を結ぶと嬉しいよね。
ごちそうさま!
うん、別にそのセリフ自体には何の思い入れも無いからね。
ま、キャラとしても大人し目のが好きだからっていうのもある。ワンコも良い子だとは思うけどね。
ですか。
はー、それにしても何度でもやりたくなりますねえ。
そうだね。ここまでネタバレが関係無く楽しめる作品も珍しいかも。久しぶりに思い返したけど、やっぱりいいなあ……。
あ、諠、言葉。ちょっと手伝――
はー……。
はー……。
……何まったりしてるの、二人とも。
幕間
 ひとこと
そういえば、声がなかったです。わたしは気になりませんでしたけど。
  
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