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バナー無し | |
タイトル | さくらむすび |
ブランド | CUFFS |
発売日 | 2005年08月05日 |
ジャンル | ノベルタイプAVG |
対応OS | Windows98SE/Me/2000/XP |
価格 | 6800円 |
中古価格 | ゲーム博物館(仮)へ |
原画 | ☆画野朗 |
シナリオ | トノイケダイスケ |
音楽 | 安瀬聖 |
ボイス | 無 |
FD | 無 |
全年齢版 | 無 |
作品あらすじを表示/非表示
僕には、両親がいない。
そのことに気づいたのは、物心ついてしばらく経ってからのことだった。 僕の側には桜がいて紅葉がいて、養ってくれる大人たちもいて。 それで、何もおかしいことなんてない。 そう思っていた。 だから両親が事故で他界しているのだ、ということを理解した際も、 特に衝撃を受けたという記憶がない。 どうしたって、僕にとっての両親は、 ここまで僕を育ててくれた二人でしかありえなかったから。 けれども… どうして僕と桜が別々の家に引き取られたのか。 そのことだけは、とても疑問に思っていた。 子供を一人養うということがどれだけ困難であるか。 当時は、それを想像することすらできなくて… 幼い日の僕たちにとって、それはただ理不尽な話でしかありえなかった。 どうして兄妹が離れて暮らさなければいけないのか。 この世界には神様だとか魔法だとか、何かしら目に見えない大きな力があって。 それが僕たちから両親を奪い、そして今度は妹までをも奪おうとしているんじゃないか? そんな幼い考えに囚われていた、あの頃。 僕は確かに子供で… 自分一人ではなんにもできなくて… ただ、桜の実の兄であること。 それが、幼い僕の精一杯だった。 だから―― 早く大人になって、僕が桜を守るんだ、と… 僕だけはずっと桜の側にいてあげるんだ、と… あれから、ずいぶんな時が流れ 数ヶ月後には卒業し、真剣に将来を見据えなければならないこの時になっても しかし僕は、未だ子供のまま―― いつかの幼い誓いを、果たすことができずにいる |
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ヒロイン紹介 | |
桐山桜 圭吾の妹。 ただし祖母ではなく主に親戚筋の秋野家で世話をされ育った為、 家はごく近所であるが、兄とは別の家庭で育ったことになる。 幼い頃より体が弱く家に閉じこもる機会が多かった。 そのため唯一の肉親である圭吾への依存度が非常に高い 重度のお兄ちゃん、お姉ちゃん子に育った。 性格は控えめで内向的。同年代の子らに比べると心身共に極めて幼い。 裏を返せば、年齢不相応に純粋で愛らしい少女、と言うこともでき、 周囲の同性からはマスコット的な扱いで可愛がられている。 ただし、兄や姉代わりの紅葉に対してはその限りでもなく 兄と紅葉の関係をからかってみたり、 紅葉に恋愛の話を持ちかけたりと 耳年増なところや背伸びしたところを見せることも多々ある。 |
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秋野紅葉 圭吾の従姉妹で、幼なじみ。 桜とは実の姉妹のように育てられた「おねえちゃん」でもある。 桜とは対称的に、明るく元気で開放的な性格。 いつもにこにこ笑っているようなところがある。 子供っぽく頼りない部分も目立つが、 前向き、おおらか、世話好きという性格のためか人受けが良く友人も多い。 年齢が一緒、通う先も一緒と、 これまでのほとんどを圭吾と共に歩んできてしまったため 圭吾とも親友を通りこして兄妹のような関係になっている。 そのため桜も含めて「家族」と公言してはばからない。 また、その言葉を体現するように 何かにつけて別居状態の圭吾の世話を焼いては一緒に暮らそうと誘い続けている。 圭吾に対するその無防備さは血のつながりがないことを考慮すると 桜をしのぐほどであり時に圭吾の悩みの種となることも。 |
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瀬良可憐 桜の同級生で、圭吾の友人『瀬良邦彦』の妹。 才色兼備を絵に描いたような優等生。 父は桜丘町では一番の医療施設である瀬良医院の院長と、 家柄まで含め非の打ち所がない、といったタイプ。 同じ学園内に秀才で名高い兄の瀬良邦彦が在席していることもあり、良くも悪くも目立つ存在。 成績だけいい優等生、といった印象の兄に比べると 行事や個人のつき合いまで積極的かつ前向きに取り組んでおり、 友人、教師にかかわらず周囲からの信頼は絶大。 一見すると完璧すぎて取っつきづらいものの、話してみると意外に茶目っ気があり、 また誰とも分け隔て無くつき合う如才なさを持ち合わせているため、彼女を慕う友人は多い。 桜が瀬良医院に世話になる機会が多かった関係などもあって 桜の良い友人であるのはもちろんのこと、圭吾にもよくなついている。 |
購入動機 『音楽と絵』 | |||||||
オススメ度 | お気に度 | シナリオ | テキスト | 立ち絵 | 一枚絵 | 音楽 | 雰囲気 |
8/10 | 10/10 | 9/10 | 10/10 | 10/10 | 10/10 | 10/10 | 10/10 |
お気に入りキャラ 瀬良可憐 | |||||||
まれびと的シナリオと解釈(批評空間リンク) |
序 | |
主さま……。ちょっと、いいですか? | |
このちゃん? どうしたの、こんな夜中に | |
あの……恐くて。主さまの、側にいたいです | |
怖い夢でも見たの? | |
いえ……。 主さまが大好きだといっていたゲームを、やったんです。 そうしたら段々こわくなってきて。 |
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僕の好きなゲーム? タイトルは? | |
『さくらむすび』 | |
……あー。確かに、ちょっと不気味かもなあ。良いよ、おいで | |
ぁぃ……。主さまぁ、いますよね。ちゃんと、いますよね? | |
居るよ、ここに……おっと。ほら、恐くない、恐くない。涙も拭いて……そうそう | |
…………すん。……ごめんなさい。しばらく、こうしてていいですか? | |
気の済むまでご自由に | |
ありがとう、ございます。 ……もうちょっと強く、ぎゅってしてもらっても、いいですか? |
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はいはい。……シナリオも、甘々なはずなんだけどねえ | |
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文章全般について | |
落ち着いた? | |
……はい。すみませんでした | |
諠。言葉、知らない? | |
およ、さーや。このちゃんなら此処に居るけど | |
はい | |
……何してるの、こんな夜中に。二人で抱き合って | |
え、や、あの。これには色々あって | |
色々? | |
説明中 | |
つまり、『さくらむすび』っていうゲームをやったら恐くなって、諠の所にきた、と | |
……はい | |
言葉らしい、と言えばらしいね | |
む、それはどういう意味ですか | |
言わないと分からない? | |
むー! | |
さーや、このちゃんを虐めないの。このちゃんも、事実なんだから怒らないの | |
あはは、ごめん。……ところで、そんなに怖いの? その『さくらむすび』は | |
んー、普通にやっている分にはそんなこと無いと思うけど。 でもテーマに何となくでも気付くと、気味悪いかもね |
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はい。とっても優しくて温かいお話なんですけど、どこか、裏があるような気がして、 すごくこわいものが潜んでいる気がして……とってもこわくなりました。 |
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なんだか、よく分からないな。どういうお話なの? | |
んーと、主人公が居るんだけど、身内が妹しか居ないのね。 で、その妹も近所の知り合いの家で暮らしている。 つまり、殆んど一人暮らしなの。 その近所の幼なじみが面倒見てるから実際はちょっと違うんだけど。 |
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うん。それで? | |
その妹は物凄く主人公が大好きなの。体も弱いし精神的にも幼いし。 主人公としてもたった一人の身内である妹を溺愛してる。 でも、兄妹としてこのままで良いのかな、というのが主人公の悩みの種なわけ。 |
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……どういうこと? | |
兄妹として近過ぎるんじゃないかって事。 妹だけは手放したくないっていう主人公の昔からの気持ちと、 妹の主人公依存が幼いころからずーっと続いているんだよ。 だから、関係を変えなきゃいけないんじゃないかって、悩む。 |
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成程。確かに、近親相姦は禁忌だもんね | |
うん。で、その流れが、或る台本が発見されて変化するんだ。 今迄は兄妹間での話だったのが、主人公と仲間達の親世代にまで遡ることになる。 その台本の名前が―― |
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……『桜結び』 | |
そう、桜結び。 内容は桜の精が或る男と恋をして、子を身籠った為に男と共に桜の国へ行こうとするの。 でも、男が拒んで桜の精だけが行くという話。 これが、事実を元にしているんじゃないかってね。そこから本格的にシナリオが始まるの。 |
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……これ、怖い? | |
そのまま受け取ると、そんなに怖くない。 でも、何て言うのかな。『見えない恐怖』が潜んでいるんだよ。 |
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見えない、恐怖? | |
そう。主人公の両親が死んだ理由を台本に当て嵌めると、 桜のお化け――桜の精が連れて行ったんじゃないかって事になる。 そして、主人公達はこの台本で演劇をやろうとしている。 だから、桜のお化けに連れて行かれるんじゃないか、とか。 |
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何か分からないものに対して恐怖を感じるってこと? | |
そう。それにこの作品は台本の他にもう一つ桜に対するイメージがあるんだ。 それが梶井基次郎の『櫻の樹の下には』 |
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あ、よく使われるよね。『櫻の樹の下には屍體が埋まつてゐる!』って | |
そうだね。とにかく、その二つが合わさって桜を極上に美しく、 怖いものとして扱っているの。だから恐いんだよね? このちゃん |
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それも、あります。だけど、人間関係とか、よくわからなくて。 みんな、裏があるんじゃないかって。 |
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? どういうこと? | |
ああ。主人公と妹を始めとして、主人公の仲間、その親世代、 と一見単純な人間関係なんだけど、凄く深い裏があるの。 そして、最後まではっきりとは語られない。個々人で考えてって感じ。 |
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つまり、色々考えられるんだね | |
そういうこと。それが分からないと、不気味に感じるだろうね | |
それって、言葉の頭が悪いからじゃないの? | |
あぅ | |
そんなストレートに言わなくても……。 しかも、これは難しいから分からない人の方が多いんじゃないかな |
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そ、そうですよ! | |
まあ、このちゃんの学力に関しては否定しないけど | |
主さま!? | |
言葉の学力はいいとして。 シナリオが薄気味悪いのは分かったんだけど、ずーっとそんな感じなの? |
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いいや。基本的には、極上な程に甘ーい話だよ。ずーっとイチャイチャしてるし | |
へぇ。…………え? | |
うん、まあ、そうなるよね。何て言うのかな。オブラートになっている感じ | |
……だから、余計にこわく感じました。作りものな感じが、して | |
そこまで恐がる必要は無いと思うけど……。 まあ、そんな訳で妙に気味の悪い感じなんだよね。 |
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うーん、あたしはそこまで怖そうじゃないと思うけどなあ | |
まあ、凄く抽象的な内容だしね。 雰囲気だけ味わうなら、とても和む作品だと思う。思わずニヤニヤしてしまうような。 でも、深く考えると出口が見えない程に深い作品だよ。 |
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イラストなどについて | |
……ふぅ。やっと行ったか | |
はい | |
……何で居るの。一緒に行ったはずじゃ | |
もうちょっと主さまとお話がしたかったので、 気付かれないように戻って来ました。……迷惑、でしたか? |
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や、別にそんな事はないけど。……じゃあ、続きでも話そうか。 えーと、内容は話したから……。 |
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絵、ですねっ! | |
……何でそんなにテンション高いの、このちゃん | |
だって、主さまの好きな絵だって見た瞬間に分かりましたから! | |
……一応聞くけど、何で? | |
だってヒロインが全員幼―― | |
えい、やあ、たあっ! | |
あぅ、あぅ、あぅっ! ……痛いです | |
確かに好きな原画家さんだけど、そういう意味でじゃありません! 綺麗な絵でしょ!? |
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……たしかに、とっても綺麗です。 でも、絶対ヒロインの絵柄にも惹かれているはずです。 |
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何を根拠に!? | |
勘ですっ! | |
そぉい! | |
きゃぅ! ……ごめんなさい | |
まったく。僕としては、物凄く綺麗な絵だと思うし、 桜に関しては設定上ああいう絵になるのは仕方ないと思っているけど。 でも他のヒロインも含め、ちょっと頭身が低すぎると思う。 シナリオが良いのに全力で勧められない理由はこれだね。 |
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本音は?? | |
慣れると案外大丈夫なもんだと思う | |
ふふー | |
は!? いや違っ! | |
聞こえませーんー | |
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音楽、歌などについて | |
OP『さくら』 ED『別れ、そして出会い。』 | |
……気を取り直して。この作品も水月同様声無しだから、OPも音楽のみだね | |
今回はどうなんですか? | |
何が? | |
声があった方がいいのか、なくてもいいのか、です | |
ああ。この作品は無い方が良いかな。そっちの方が純粋に楽しめる | |
そうですかー。じゃあ、棚からボタン餅なんですね! | |
は? | |
だって、お金がないから声なしなんですよね? | |
違うに決まってるでしょ!? | |
ほぇ!? そうなのですか? | |
いやまあ断言は出来ないけど……水月の時だって声無しだったんだから | |
あ、そういえばそうですね | |
曲とシナリオを純粋に楽しむために声無しなんじゃないかなあ。 この作品の曲はゲーム音楽とは思えないレベルだし。 |
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本当に、そうですね……。このピアノの曲を聴いているだけで感動してしまいます | |
そうそう。音楽だけ何度も聴いてるし。 でも『ゲーム音楽にしておくには勿体ない』とは思わないんだよね。 |
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それ程、この作品に合ってる、ということですね | |
ん、そうだね | |
ところで、主さまはどの曲が好きなんですか? | |
どれが良い、といったらやはり『さくら』かな | |
オープニングの曲ですよね? | |
そう。あれは本当に良かった | |
儚くて、切なくて。わたし、ゲームの音楽でこれが一番好きです! | |
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キャラクターについて | |
ヒロインたちは、これでもかって言うくらいに主人公が好きだよね | |
はい。ここまではっきりしているのもすごいです | |
ホントにね。ただ、だからこそ逆に悲しいよね | |
何がですか? | |
そのヒロインの中から一人を選ばなきゃいけないってこと | |
……主さま。そんなの全部のゲームにいえると思いますけど | |
や、まあそうなんだけど。 でもこの作品のヒロインは何というか、共通シナリオでも主人公依存が凄いというか。 主人公が離れても本当に生きていけるの? という感じがしてさ。実際そんなこと言ってるし。 |
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……確かに、そんな感じはします。 でも、そんなの気にしてたらキリがないんじゃないでしょうか。 |
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まあ、ね。でも共通から甘々なシナリオを見ていると、ちょっと悲しいよ | |
……そんな中で、主さまは誰がお気に入りなんですか? | |
僕? そうだなあ。全員好きだけど、一番は可憐かも | |
……また紗綾さんタイプですか | |
そういう訳じゃないよ!? しかも別に似てないし! | |
因みに、一番苦手なのは誰ですか? | |
え、苦手なの? うーん。桜かなあ | |
ほぇ? どうしてまた。主さまが一番好きそうじゃないですか。絵的に | |
最後何て言った!? | |
なんで苦手なんですか? | |
…………何て言うか、ヒロインとして見られないんだよなあ。 妹として溺愛したいタイプというか。 |
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……あー、なんとなく、わかります | |
主人公の事を愛しているというより、もう人生そのものになっている感じもするし。 やっぱり主人公は桜の保護者なんだよ。 だから、ヒロインとしては一番苦手かな。愛でるなら一番愛でたいタイプだけど。 |
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……わたしは、どっちですか? | |
は? | |
可憐のような立場ですか? 桜のような立場ですか? | |
……どっちでも、無い | |
!? ……そう、ですか | |
紅葉みたいな感じかな | |
ほぇ? | |
隣に居て、当たり前 | |
……主さまぁ | |
よしよ―― | |
……言葉、居る? | |
(びくっ) | |
急に居なくなったと思ったら……。次は、怒るよ? | |
……もう怒ってます | |
何? | |
ひぅ | |
それじゃあ、諠。おやすみ | |
あーうー、主さまぁー | |
ははは……。……なんでこのちゃんが夜更かししてるとさーやが怒るんだろ。 | |
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ひとこと。 | |
プレーし終えたら、上にある『シナリオについての解釈』を読むと良いよ。 | |