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タイトル | eden* They were only two, on the planet. |
ブランド | minori |
発売日 | 2009年09月18日 |
ジャンル | インタラクティブ・ノベル |
対応OS | WindowsXP/Vista |
価格 | 5800円 |
中古相場 | ゲーム博物館(仮) へ |
LIMITED EDITION ゲーム博物館(仮) へ | |
原画 | ちこたむ、KIMちー |
シナリオ | 鏡遊 |
音楽 | 天門 |
ボイス | 有 |
FD | 無 |
全年齢版 | 本作は全年齢対象 |
作品あらすじを表示/非表示
――それは地球で最後の恋物語。
遠い未来の出来事。 火星付近に突如出現した「破滅の星」と呼ばれる巨大なエネルギーの塊。 その影響は地球にも降り注ぎ、異常気象や地殻変動が発生。 それをきっかけに各地で勃発した戦争とテロ行為により、世界は破滅的な打撃をこうむる。 しかし、それすらも真の破滅への兆しでしかなかった。 残された時間は100年。 滅亡を回避するために、人類は地球から脱出を計画。 その遂行のために2つの計画が立案される。 第一に、計画そのものを実行する“地球統一政府”の設立。 彼らは地球脱出の遂行を最優先とし、大を生かすために小を犠牲にする方針を打ち出す。 強権による人材収拾。世界政府設立の妨げとなる国家や団体を軍事力により制圧。 また、人種・宗教・食料・エネルギーによるありとあらゆる問題を圧倒的な武力によって鎮圧した。 第二に、地球脱出の根幹となる“フェリクス計画”。 移民のために宇宙線建造、 ならびに宇宙空間での長期生存を可能とする技術力を手にしなければなくなった人類だが、 残された時間はわずか100年でしかなかった。 彼らは実現不可能なその計画を、実現可能な超人類を生み出すことで解決する ――遺伝子に改良を施し、高い知能と不老長寿の肉体を持つ新たなる人類「フェリクス」。 それから99年の時が流れ――。 地球脱出計画の中心メンバーとして活躍したフェリクスの少女がいた。 人類のすべてを研究に捧げ、 仕事を終えた彼女は人がいなくなった地球に残って穏やかに余生を過ごすことを望んだ。 そして、彼女のもとへ統一軍から派遣された青年がいた。 彼の仕事は少女を守ること。そして、彼女の自由を拘束すること。 2人の出会いから物語は動き出す。 すべて燃やし尽くした星と少女の小さな物語が。 |
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ヒロイン紹介 | |
シオン(志村由美) 人類を救った少女として知られているフェリクス。 地球脱出計画の移民船開発の中心的人物。 見た目は十代前半だが、フェリクスであるがゆえに優に百歳を超えており、 そのせいかどこか虚無的な性格をしている。 フェリクスの限界年齢を超えていて、そろそろ寿命が近いと噂されており、本人もそれを否定しない。 昔から研究所の中で暮らしていたため外の世界に憧れている。 しかしそれを許されない自身の現状に諦めの境地でいる。 |
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エリカ(中島裕美子) シオンの姉。何故かメイド姿で妹の世話をするフェリクスの女性。 元は彼女も移民船開発に携わる優秀なフェリクスだったが、 シオンが研究に携わるようになってからは彼女の世話をするようになる。 |
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no image |
浅井・F・ラヴィニア(中村繪里子) シオンやエリカの護衛を勤める亮と同年代の少女。 階級は亮と同じく准尉。明るくサバサバとした性格だが、 ナイフを用いた近接戦闘のプロフェッショナルであり、その腕前は確かなもの。 愛称はラヴィ。Fは日本人名である。 フェリクスに対しどこか心酔したところがあり、直人の出す裏の仕事にも携わっている。 また、第703研究所に勤めている女性軍人の中では階級はトップ。 |
no image |
塔野真夜(後藤麻衣) 最近売り出し中のフリージャーナリスト。 亮曰く『俺やラヴィより一つ二つくらい年下』。 ツインテールの元気娘で、自分の発言で度々自爆する。密かに胸の大きさに自信があるらしい。 どこからか第703研究所にシオンがいることを嗅ぎ付け、熱心にインタビューを申し込んでいた。 バカな発言が目立つが、ジャーナリストとしては熱心で、 シオンは以前に彼女がインタビューしている映像を見たことがあった。 主に地球脱出計画の技術者達への取材を行っており、 いくつかの二流雑誌に記事を載せている(二流雑誌と言われた時には本人も否定できなかった)。 洗練された文章ではないがそこそこ読ませる面白い記事を書いている、とはシオンの弁。 シオン曰く、「いい意味でバカ」。 |
購入動機 『minori買い』 | |||||||
オススメ度 | お気に度 | シナリオ | テキスト | 立ち絵 | 一枚絵 | 音楽 | 雰囲気 |
9/10 | 10/10 | 9/10 | 10/10 | -/10 | 9/10 | 10/10 | 10/10 |
お気に入りキャラ シオン |
序 | |
……主さまぁ。 | |
うん? 何、このちゃん。 | |
もし、地球が終焉を迎える間際、地球上にいるのがわたしたち二人だけでしたら―― ――その時は、わたしの最期を、看取ってくれますか? |
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……このちゃん、一回精密検査してもらおう? | |
な、なんでですか! わたしは健康です! | |
うんうん。……ちょっと所々バグが出て来たかな。一回サポートセンターに連絡を―― | |
機械!? じ、冗談ですよね、わたし、ロボットじゃないですよね!? | |
…………いつかは、話そうと思ってたんだ。 | |
………………そんな。じゃあ、主さまへの感情も偽物……? ……やぁ。そんなのいやあ! | |
……冗談に決まってるじゃない。なんで信じるのかなあ。 | |
…………ひっく。じょーだん、なんですか? わたし、ちゃんといきてるんですか? | |
生きてる生きてる。ちょっとこのちゃんがあまりにも変な事を言うから、からかっただけだよ。 | |
………………よかったぁ。 | |
ん、良かったね。それでさ、このちゃ―― | |
……主さまなんか、知らない、です。 | |
――あれ? | |
暗転 | |
……それは、諠が悪いと思う。 | |
やっぱりそうかなあ。 | |
うん。ちょっと、からかい過ぎかな。……凄く面白そうだけど。 | |
んー、反応が良いからつい、ね。後で謝っておかないとなあ。 | |
そうしなさい。……でも、言葉は何でそんな事を言いだしたの? | |
ああ。多分、僕が貸したゲームをやったんじゃなかなーって。 | |
……何だか、前にも同じような事を言ってた気がするけど。 | |
感化されやすいからなあ。終末系には特に。 | |
まったくもう。しょうがないなぁ、言葉は。 | |
ホントにね。じゃあ僕はこのちゃんに謝って―― ――何? さーや。 |
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ん? | |
いや、『ん?』じゃなくて。袖引っ張ってると行けないんだけど。 | |
うん。……行く前に、どんなお話なのか聞かせて? | |
……別に良いけど、珍しいね。どうしたの? | |
んー、何となく、かな。 | |
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文章全般について | |
それで、どんなお話なの? | |
ん。さっきちょこっと言ったけど、もう一回言うね。 | |
うん。お願いします。 | |
始まりはこの物語が始まる100年前。火星付近にいきなり巨大なエネルギー体が発生して、 地球は後100年で滅亡するっていう予測が立つんだ。 その為に、人類は『地球脱出計画』を立てる。 そして、その計画の為に超人的な人類を生み出すんだ。 |
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えっと、フェリクス、だっけ? 不老長寿なんでしょう? 良いなぁ。 | |
……さーやも似たようなもんじゃない。 で、その不老長寿かつ高い知能を持つフェリクスを使って地球脱出計画は滞りなく進むんだ。 99年後、無事に完成して、殆どの人類は宇宙へと旅立った。 |
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……でも、残った人もいるんでしょう? | |
ん。残りたいって思ってた人が居る。地球脱出計画の中心人物で、フェリクスでもあるシオン。 彼女は人生の全てをこの計画に捧げた。だから、最期は地球で穏やかに生活してみたいってね。 |
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言葉も言ってたけど、何で最期なの? | |
フェリクスだって寿命があるんだよ。 外見的には齢を取らないけど、ね。シオンだって100年生きてたんだから。 |
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……成程、ね。それで、シオンだけは残るんでしょう? | |
そうは問屋が卸さない。 政府としてはシオンは絶対に必要な人物なんだよ。だから連れて行かないといけない。 |
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…………最期くらい、自由にしてあげても、良いのに。 | |
まあ、そう思うんだけどね。 ……で、そのシオンの警護に新しく加えられたのが、主人公の榛名亮。 勿論、シオンの自由を奪って地球を脱出する船に乗せるっていう任務もあるんだけど。 |
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難しい、立場なんだね。 | |
そうだね。まあ主人公はその事に気づいていないんだけど。 | |
それで、どうなるの? | |
……これ以上言うとなあ。さーや、やらないの? | |
うん。やらないよ。 | |
……じゃあ、言っちゃっても良いのかな。…………いや、やっぱりダメ。これ以上は言えません! | |
ぶー。……本とかで、出てないの? | |
確か、コミックで出るはずだけど。 | |
じゃあ、それを読めば良いかな。 | |
……そんな面倒な事をするならやれば良いのに。 | |
ダーメ。それより、諠の感想が聞きたいな。 | |
はいはい。……端的に言うと、僕はとっても気に入った。 結構短いんだけど、その中に沢山の大事な物が詰ってる。 様々な人の生き様、それが凝縮されている感じかな。 それと、何と言ってもこの作品の良い所は、テーマが一貫していてぶれなかったところだよ。 |
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どういう事? | |
ん。大抵の作品は、色々な人のニーズに合わせる為に 色々な属性のキャラを攻略可能にしているんだけど……それは分かる? |
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うん、それくらいは分かるよ。 | |
この作品はメインヒロインがシオンで、シオンの願いを叶える事を最大の目的としているんだ。 だから、仮にシオン以外のヒロインを攻略可能にすると、話がぶれちゃう。それも分かる? |
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……ん、分かるよ。ライトノベルは全部そうだし。 | |
ああ、そうだね。 で、この作品は攻略ヒロインはシオンだけで、全てシオンの話で構成されているんだ。 だからとてもすっきり纏まっているし、読んだ後に完結って感じがして、気持ち良かったよ。 |
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でも、シオン以外のヒロインの方が好きな人には、ちょっと不満が残りそうじゃない? | |
そこが一本道シナリオの難しい所なんだよね。 でも僕としては、媚びずに貫き通した所を、評価したいかな。 この作品は、やっぱり一本道じゃなきゃダメだよ。 |
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うん。諠がそう思うなら、それが正解なんだと思う。 ところで、シナリオ以外の部分はどうだったの? |
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とても読みやすい文章だったよ。テーマ自体は凄く真面目で、感動的なんだけれど、 入り方が結構ギャグっぽい場面が多くてね。またそのテンポが良いんだ。 |
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そうなんだ。ちょっと意外かも。 | |
ギャグっていうか、何て言うんだろう。お茶目って感じなんだよね。 だから笑えるっていうより微笑んじゃうテキスト、かな。 |
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ふうん。……諠は、この作品をすっごく気に入ってるんだね。 | |
ん、そうだね。ちょっと展開が急過ぎたり、 もうちょっと掘り下げても良いんじゃない? って思ったりもしたけど、 それが全然気にならなくなるほど、最後が良かった。短編の名作として、是非やって欲しいよ。 |
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……そうやって、またあたしにやらせようとする。 | |
選択肢も無いし、ライトノベルと大して変わらないと思うんだけどなあ。 | |
そういう問題じゃないんです。やらないものは、やらないの。 | |
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イラストなどについて | |
絵は、ヒロインはちこたむ、男キャラはKIMちーが描いているんだけど、知ってる? | |
……んー、どっちも知らないかな。でも、可愛いと思うよ。 | |
そうだね。僕もそう思う。ちこたむは他の作品でも結構知っているんだけど、 この作品も例に漏れず、とっても綺麗な絵。 印象に残った事としては、立ち絵らしい立ち絵が殆どなかった事かな。 殆ど全部一枚絵みたいな感じだった。 |
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それって、凄いの? | |
凄いね。まあminoriの作品は割とそんな感じなんだけど、今回もクオリティが高かった感じ。 ただの一枚絵より相当時間が掛かるだろうし、ホント、尊敬するよ。 |
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ふうん、そうなんだ。ところで、男性キャラは? | |
…………敢えて触れなかったんだけどなあ。 | |
そうなの? | |
ちょっと、主人公の顔が、ね。 あまり主人公っぽくないって言うか、合ってないっていうか。そういう印象を受けたんだ。 |
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何で、ヒロインの絵を描いた人が全部描かなかったんだろう? | |
女性キャラが上手いからって男性キャラも上手いとは限らないからね。 『ef』も男女で別だったし、そういう分け方をしているみたい。 |
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そうなんだ。絵って難しいんだね。 | |
だね。……あ、ヒロインでもちょっとだけ気になった事があったんだ。 | |
何? | |
塗り方。ちこたむの絵って割と明るい感じの塗りが合っているんだけど、 これは作風から全体的に暗めの配色なの。それが、ちょっと違和感があってね。 まあ、それを感じるのは僕だけかも知れないけど。 |
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音楽、歌などについて | |
OP『little explorer(原田ひとみ)』 ED『』 | |
音楽は? | |
最高だった。コトバも出ないくらいに。 | |
……そんなに? | |
元々、天門は好きな作曲家だからね。 だから評価は甘めになっちゃうかも知れないんだけど……、これに関しては、溜め息しか出ない。 勿論、良い意味でね。 |
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具体的に、どういう感じなの? | |
全体的には、やっぱり静かな、落ち着いた曲が多め。 殆どがピアノ曲や弦楽で構成されていて、いちいち心を揺さぶるメロディを奏でる。 涙腺をピンポイントで攻めてくるような感じかな。曲だけでも十分成立するよ。 |
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あはは。大絶賛だね。 | |
ん。シナリオも、最高の演出も、全部この曲が無かったら味気ないものになっていただろうからね。 どうしてもゲーム音楽っておまけみたいな扱いになっちゃうけど、これは違う。 |
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……そんなに良いなら、聴いてみようかな。 | |
ん、是非聴いてよ。後で聴かせてあげるから。 ……それと、いつもながらOPムービーは凄かった。 新海誠が直接関わって無くてもこれだけのものが作れるんだね。 |
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……見てないから何とも言えないんだけど、そうなの? | |
そうなの。これも後で一緒に見ようか。 | |
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キャラクターについて | |
キャラクターで一番魅力的なのは、やっぱりシオンなんでしょ? | |
僕は、そうだった。でも他の人はそうとも言えない。 | |
え? だって、シオンのシナリオしか無いんでしょう? | |
うん。だけど、他の作品だったら充分ヒロインを張れるような、魅力的なキャラが多かったからね。 そっちのが好きっていう人も多かったんじゃないかな。 |
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そうなんだ。 | |
それに、結構あっさり居なくなっちゃったりするからね。 その分『もっと見たかった!』っていうのがあるのかも。 一期一会っていうか、本当に別れてそれっきりなんだなあ、と僕も思ったくらいだし。 |
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ふうん。でも諠は、シオンが好きなんだよね? | |
キャラとしては一番だね。一番魅力的に感じたよ。 | |
どんな所が? | |
えっとね―― | |
やっぱり外見? | |
このちゃんみたいな事言わないでくれる!? | |
あはは。……でも、外見でしょ? | |
……否定はしない。でもそれだけじゃない。 | |
例えば? | |
先ず、背負っているものが他のヒロインと段違いだった。 感情も、一見無さそうに見えて実は凄く豊か。 最初から割と主人公に好意的で最終的に凄く懐いてくれるし、そもそも行動が可愛らしい。 主人公が居ないと何も出来ないけれど、主人公に負担をかけたくない。 自分の事を最優先にしてもお釣りが来るほど、今迄他人の為に頑張っていたのに、 それでも尚他人の心配をする。 |
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…………何だか、半分くらい当てはまる人を知っている気がする。 それにしても、本当に凄く気に入ってるんだね。 |
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ま、ね。まあそれくらい魅力的なヒロインだから、一本道でも良いんだよ。 | |
でも、その……最期、を迎えるんでしょう? 悲しくなかったの? | |
そりゃ、悲しかったけどね。演出も最高だったし。でも、何て言うのかな。 『これで良かったんだね』とか、そう思えるから悲しいというより感動っていう感じ。 |
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ふうん。……泣いた? | |
や、別に。だからそういう感じの演出じゃあないんだよね。上手く説明できないけど。 | |
……ん、大体分かった。ありがとう、諠。 | |
それは良かったけど、何で聞いたの? | |
あはは。何でだろうね? ……ねぇ、諠? | |
うん? | |
地球最後とか、そういう事は言わないから。 あたしが居なくなる時は……諠が、傍に居て欲しいな。 |
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……いきなり、何を言うの。 | |
だって、あたしより言葉や諠の方が、絶対長生きだもん。 そうすると、いつかは……そうなるでしょ? 言葉だって、そう。 地球最後とか、世界に二人きりとか、そういう事は無いと思うけど、最期は……来るんだよ。 神様って言っても、言葉には、寿命があるもん。 |
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…………そういう事は、考えたくないなあ。 | |
でも、来るの。逃げないで、諠。あたしの、言葉の、神様、でしょ? お願い。シオンじゃないけれど、最期はやっぱり幸せで居たいもん。 |
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……………………………ん。 | |
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ひとこと。 | |
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